1999 Fiscal Year Annual Research Report
成功確率とコストを考慮した選抜方法の最適化に関する理論的研究
Project/Area Number |
11660010
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
米澤 勝衛 京都産業大学, 工学部, 教授 (90026542)
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Keywords | 選抜効率 / 集団選抜法 / 最適選抜回数 / 最適選抜強度 / 最適集団サイズ |
Research Abstract |
他殖性作物のmass selectionにおける最適な選抜回数、選抜比率および集団の大きさを、投入総コストに対する選抜効率を最大にするという視点から新たに導入された選抜効率示数、S/C(S=対象集団で目標とする改良度が達成される確率、C=そのために費やされるコスト)のモンテカルロ・シュミレーション計算に基づいて検討した。S/Cの計算に当っては、当該形質について固定した2つの品種系統の交配によるF_2集団を出発集団とし、毎世代一定の比率で選抜した個体間の任意交配によって一定の大きさの次代集団を育成しながら、選抜を繰り返す場面を想定した。選抜対象形質に関与する遺伝子は互いに独立に遺伝し、エピスタシス交互作用がないものと仮定した。S/Cの値を決める諸変数の値を現実的に考えられる範囲に設定して行なった計算結果から、以下の結論を得た。選抜の実施に直接費やされるコストではなく、選抜目標の達成までに費やされる時間(年数)の損失が重視される場合には、2、3000個体の集団に対して1%前後の強度の選抜を、2、3回から多くて数回行なうのがほぼ最適である。この辺りの世代までに目的とする選抜効果が達成できない場合は、選抜の継続を促す特別の理由がない限り、その集団は放棄して別の集団(交配組合せ)を試すほうが長期的にみて効率的である。一方、時間の損失ではなく、直接費やされるコストに対する効率が問題とされる場合には、100個体以下の小さな集団に対して10〜20%のゆるい強度で数回以上の選抜を繰り返すのが効率的である。優性効果は、優良遺伝子が大半の遺伝子座ですべて優性もしくは劣性でない限り、選抜回数などの最適値の変更要因とならない。
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[Publications] Yonezawa,K.,Yano,K,Ishii,T. and Nomura,T.: "A theoveticai basis for measuring the efficiency of selechin in plant breeding"Heredity. 82. 401-408 (1999)
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[Publications] Yano,k.,Ishii,T. Ihehashi,H. and Yonezasa,K,: "Optimizanon of the number of Cycles and intensity of selecnion,and populaoian size in mass selection: Selecnin for single troits"Breeding Science. 50. 37-43 (2000)
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[Publications] 米澤勝衛,矢野健太郎: "他殖性作物におけるMass selecrion法の最適化に関する理論的-考察"京産大国土研紀要. 21. 印刷中 (2000)
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[Publications] 米澤勝衛,矢野健太郎,石井卓朗: "形質評価精度の向上が選抜の効率化をもたらす条件について"育種学研究. 1,別冊1. 299 (1999)
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[Publications] 石井卓朗,矢野健太郎,米澤勝衛: "確率理論モデルによる生産力検定試験方式の検討"育種学研究. 1,別冊1. 297 (1999)
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[Publications] 米澤勝衛,矢野健太郎,石井卓朗: "形質評価の精度とコストの関係"育種学研究. 1,別冊2. 316 (1999)