2000 Fiscal Year Annual Research Report
成功確率とコストを考慮した選抜方式の最適化に関する理論的研究
Project/Area Number |
11660010
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
米澤 勝衛 京都産業大学, 工学部, 教授 (90026542)
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Keywords | 多段階選拔 / 収量検定試験 / 選拔効率 |
Research Abstract |
生産力検定試験の選抜過程において、高収系統と対照系統の収量差および収量の判定誤差が選抜効果に及ぼす影響について、パターンI:検定集団の上位系統を一定割合で選抜する方式、パターンII:対照品種よりも優良な系統を選抜する方式、パターンIII:選抜基準値(Xc)を一定値に固定し、Xcよりも高収量の系統を選抜する方式、の3選抜方式を用いて検討を行った。高収系統(g_1)と標準収量系統(g_2=0.0)がそれぞれf1、f2で含まれる計Na個の系統から、収量の判定誤差(V:系統当たりplot数が多いほど小さい値をとる)の条件下で、t段階(年次)の選抜でNu個の系統を選抜するモデルに従い、選抜効果を計算した。パターンII、IIIの選抜比率は、t-1年次までは対照品種またはXcよりも高収量の系統を選抜し、最終年次でNu個の系統に絞ることとした。選抜効果は、Nu個の系統がすべて高収系統である確率(S)で示した。 パターンIIでは、パターンI、IIIと比較して、収量差(g=g_1-g_2)と判定誤差(V)の値に関係なく、年次数の増加はあまり有効ではなく、また、パターンIIのV=1の場合では、gは多段階選抜の効果に大きな影響を及ぼさないことが示された。しかし、gとVが多段階選抜の効果に及ぼす影響は、いずれのパターンにおいても類似した傾向を示した。即ち、V=1のように判定誤差が小さい場合は、gが0.1のように収量差の小さい方が多段階選抜の効果が高くなるが、Vが10のように大きくなると、gが2.0のように大きい場合に効果が高くなることが認められた。従って、多段階選抜が効果的であるのは、対照系統との収量差が小さい系統を圃場面積を十分使って選抜する場合か、収量差の大きい系統を限られた圃場面積の下で選抜する場合であるといえる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yonezawa,K.,T.Ishii and K.Yano: "Definitron of the Probability Efficiency Index for Optimization of the Stepwise Yield Selection Procedures of Plant Varieties"Biometrics. 56. 1213-1217 (2000)
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[Publications] Yonezawa,K.,E.Kinoshita,Y.Watano and H.Zentch: "Formulation and estimation of the affective size of stage-siructured populations in Fritillaria camtschatcensis"Evolution. 54. 2007-2013 (2000)
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[Publications] 米澤勝衛,石井卓朗,矢野健太郎: "生産力検定試験方式の最適化に関する従来理論の問題点と今後の研究課題"育種学研究. 2・別1号. 326 (2000)
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[Publications] 石井卓朗,矢野健太郎,米澤勝衛: "2つの異なる選抜判定基準の下での生産力検定試験の最適方式の違いについて"育種学研究. 2.別1号. 325 (2000)
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[Publications] 矢野健太郎,石井卓朗,米澤勝衛: "Mass selectionの効果に影響を及ぼす諸要因の解析5,交配後選抜の下での最適選抜方式"育種学研究. 2.別1号. 327 (2000)
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[Publications] 石井卓朗,矢野健太郎,米澤勝衛: "選抜基準値を一定値に固定した場合の生産力検定試験の選抜効果"育種学研究. 2.別2号. 189 (2000)
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[Publications] Yonezawa,K.and T.Ishii: "Ruarititative Benetics and Breeding Methods : The Way Ahead"INRA. 331(155-161) (2001)