1999 Fiscal Year Annual Research Report
高次の遺伝子発現機構の解明に向けたイネにおけるターゲティング法の開発
Project/Area Number |
11660011
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
寺田 理枝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (30137799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 喜茂 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50280764)
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Keywords | ターゲッティング / イネ / アグロバクテリウム法 / ジフテリア毒素タンパク / ネガティブ選抜マーカー / ジフテリア毒素(DxL-A)遺伝子 / Waxy / DFR |
Research Abstract |
高次の遺伝子発現機構の解明に向けたイネでのジーンターゲティングの確立を目指して以下の実験を進めた。標的とする遺伝子座として澱粉合成に関わるWaxy遺伝子座、及びアントシアニン合成に関わるDFR(dihydroflavonol-4-reductase)を選択した。DFR遺伝子はすでに品種ムラサキイネよりクローニングされているため、このクローンをもとにネガティブ選抜マーカーであるジフテリア毒素タンパクのAチェーン(DxL-A)遺伝子をライトボーダー側に挿入したターゲティング用ベクターを構築した。Waxy遺伝子は日本晴のYACクローンを入手して、Waxy遺伝子の周辺領域15Kbのクローニングを試みたが、全長を含むファージを得ることができなかったため、品種シモキタのBACクローンをもとに15Kb領域を得た。一方でターゲティング用の基本ベクターとしてポジティブおよびネガティブの選抜マーカーを持つものを構築した。この基本ベクターにWaxy15kbの断片をリクローニングしたものを接続し、構築を進めている。 ジーンターゲッティングにおいて通常用いられているネガティブ選抜マーカーについては、DxL-A遺伝子を用いてネガティブコントロールベクターを構築してイネに導入し、致死効果のあることが明らかとなっていた。生き残ったカルスの遺伝子をPCRを用いて詳しく調べたところ、いくつかのカルスでポジティブ選抜マーカーのハイグロマイシンやGusA遺伝子は検出されたものの、DxL-A遺伝子を持つものはひとつも検出されなかったことから、おそらく、外来遺伝子導入の段階でDxL-A遺伝子が何らかの形で削除された組換え体のみが、生き残ったものと推測され、DxL-A遺伝子のイネでの致死効果は95%以上と判断される。しかしながら、今回用いた、ネガティブコントロールベクターでは、T-DNAのライトボーダー側にDxL-A遺伝子を置いたにもかかわらず、3%近くの割合で挿入遺伝子の断片化が生じており、極めて低頻度のジーンターゲティングを行うシステムを確立するためには、この点をさらに検討する必要がある。
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[Publications] 寺田理枝,李 洪清,稲垣善茂,飯田 滋: "高頻度の形質転換効率を示すイネ・アグロバクテリウム法の開発"育種学研究. 1巻・別冊2. 69 (1999)
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[Publications] 寺田理枝,飯田 滋: "モデル植物 ラボマニュアル-基礎編-(仮題)"シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社. 17 (2000)