2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660012
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Research Institution | The Japan Kinoko Research Center Foundation |
Principal Investigator |
松本 晃幸 (財)日本きのこセンター, 菌蕈研究所, 研究員 (60132825)
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Keywords | 高等担子菌類 / ヒラタケ / ミトコンドリアゲノム / 全塩基配列 / 多様性 |
Research Abstract |
高等担子菌類の一種、ヒラタケの自然集団は制限酵素断片長多型(RFLP)に富むミトコンドリアゲノムを保有しているが、その遺伝学的および育種学的意義の理解につながる分子生物学的知見はほとんど得られていない。本研究では、上記のRFLPをヒラタケミトコンドリアゲノムの全体構造に基づいて説明することを第一の目的とし、前年度に引き続き、517株ミトコンドリアゲノムおよび本ゲノムと制限酵素BamHI、EcoRI、EcoRVおよびPstIの切断パターンにおいて顕著なRFLPが観察された286株ミトコンドリアゲノムの全塩基配列を決定した。その結果、517株のミトコンドリアゲノムDNAは71,948塩基対からなり、アデニン+チミンの含量は73%に達することが明らかとなった。決定した塩基配列より合計55個の遺伝子(2個のリボソームRNA遺伝子、26個のtRNA遺伝子、14個の既知タンパク質遺伝子、イントロンのORFを除いた13個の機能未知ORF)の配列が同定された。この遺伝容量は他の菌類で報告されているものと同程度と考えられる。517株と286株のミトコンドリアゲノム構造を比較したところ、同定された既知タンパク質遺伝子数とその並び順および読み枠の方向に差は認められなかった。しかしながら、塩基配列レベルの比較において、遺伝子間領域を中心に多くの小規模な挿入/欠失や点変異が認められ、そのうちのいくつかは新たな制限酵素切断点の生成/消失に関与していた。さらに、大規模な挿入/欠失が遺伝子間領域おいて、また、遺伝子内領域においては内部にLAGI-DADGモチーフをコードするORFを有する可動性イントロンの有無として認められた。それぞれのゲノムに保有されるイントロン配列の差異は両ゲノムで認められたRFLPと深く関わっていることが示された。
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