Research Abstract |
草型を異にする日本型,インド型,ジャワ型稲品種(合計26品種)を1999年と2000年に同一条件下で栽培して,生態種による籾の分化・退化・現存特性について検討した(実験I)。また,多収性穂重型アケノホシと揚稲4号をポットで分げつ除去栽培し,出穂期前(DBH)40〜10日までの窒素施用量と時期,DBH15〜0日の遮光処理,温度条件が籾の分化・退化・現存数に及ぼす影響について検討した(実験II)。[結果]実験I:1999年の1穂当たりの分化・退化・現存穎花数はそれぞれ83.9〜270.1,9.6〜87.7,65.6〜220.0,2000年はそれぞれ82.2〜251.6,11.3〜93.8,69.6〜197.5で,分化,現存穎花数には3倍以上の,退化穎花数には約9倍の品種間差異がみられた。品種群別にみると,いずれもインド型>ジャワ型>日本型の順に大きく,品種間差異は2次枝梗穎花数の差に基因した。穎花の退化割合は,1999年と2000年でそれぞれ7.2〜38.1%,9.9〜39.4%でジャワ型や日本型に比べてインド型品種で高かった。分化穎花数は現存および退化穎花数といずれの品種群とも高い有意な正の相関関係を示したが,分化穎花数に対する退化穎花数の割合はインド型で著しく高かった。分化および現存穎花数は,幼穂分化期〜出穂期までの有効茎の乾物生産量と,また退化穎花数は分化穎花数当たりの乾物重増加量と密接に関係していた。実験II:両品種ともDBH40〜10日の窒素追肥は分化穎花数を増加,退化穎花数を減少させ,現存穎花数が増加した。DBH15〜0日の遮光処理は分化穎花数には影響しなかったが,穎花退化率が増加し,現存穎花数が減少した。また,高い昼温(30℃),夜温(26℃)は,低い昼温(26℃),夜温(22℃)に比べて穎花退化率が高くなり,現存穎花数が減少した。穎花退化率は出穂期の1茎当たり乾物重および分化穎花数当たりの1茎当たり乾物重が重いほど低下した。乾物重および吸収窒素当たりの穎花生産効率はアケノホシが高かった。
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