2001 Fiscal Year Annual Research Report
ユリにおける生態関連形質と分子マーカーの遺伝・連鎖分析,および遺伝連鎖地図の構築
Project/Area Number |
11660033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
比良松 道一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (30264104)
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Keywords | ユリ / テッポウユリ / タカサゴユリ / 生態形質 / 遺伝分析 / 遺伝連鎖地図 |
Research Abstract |
本研究は、近縁種でありながら生態的に顕著な違いを示す,テッポウユリとタカサゴユリの生態関連形質の進化・遺伝的背景を解明することを目的として行われた。 タカサゴユリと最も遺伝的に遠く、「早咲き」性を示さない喜界島産テッポウユリを花粉親に用いて作出した種間雑種第一代の個体は、すべて年内に開花し、タカサゴユリに特異的な「早咲き」性を示した。このことから、タカサゴユリの「早咲き」性は優勢遺伝することが示唆された。また、タカサゴユリの自家和合性および開花期は、概ね雑種第一代で優勢的に発現した。これらの結果は、タカサゴユリがこうした生態形質に関わる遺伝子の優性突然変異で分化したことを示唆している。 雑種第二代においては、「早咲き」性を示す個体と示さない個体が見られた。「早咲き」性の発現は、年間の純生産量(個体サイズ)に依存しており、純生産量を制御するいくつかの遺伝子が、「早咲き」性の発現に関与していると推察された。雑種第二代集団におけるRAPDマーカーの遺伝分析を行ったが、発現が安定しているマーカーを十分に得ることが困難で、遺伝連鎖地図の構築が困難であった。AFLPのような発現安定性が高いマーカーを用いて遺伝連鎖地図を構築し、各生態関連形質のQTL解析を進めていく必要があると思われた。
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