1999 Fiscal Year Annual Research Report
クリマクテリックおよび非クリマクテリック型果実の発育・成熟とジャスモン酸との関連
Project/Area Number |
11660036
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Research Institution | Hiroshima Prefectural University |
Principal Investigator |
近藤 悟 広島県立大学, 生物資源学部, 助教授 (70264918)
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Keywords | 細胞分裂 / 果実成熟 / 果皮着色 / リンゴ / オウトウ / 果実発育 / 植物ホルモン / PGR |
Research Abstract |
クライマクテリック型果実としてリンゴ(品種:つがる)、非クライマクテリック型果実としてオウトウ(品種:佐藤錦)を供試し、果実発育中のジャスモン酸類の推移を検討した。trans-ジャスモン酸(JA)、cis-JAおよびtrans-ジャスモン酸メチルエステル(MeJA)を両果実の果肉および種子より同定、定量した。trans-JAおよびcis-JAは、両果実の発育期間中、同様な推移を示した。リンゴ果実で、JA濃度は発育初期に高く、、満開後の日数とともに減少し成熟期間中に再び増加した。MeJA濃度も発育初期から徐々に減少した後、収穫期付近に増加した。一方、、オウトウ果実中のJAおよびMeJA濃度は、発育初期に高く収穫期に近づくとともに減少した。 リンゴ果実で、クライマクテリック前期の満開後104日でのジャスモン酸誘導体n-Propyl dihydrojasmonate(PDJ)の処理は、成熟にあたる満開後122日および満開後131日に、内生アブシジン酸(ABA)濃度およびアントシアニンン濃度を増加させた。 リンゴ種子中のJA濃度も果実の発育初期で高く、一度減少した後、収穫時には最も高くなった。リンゴ種子中のMeJA濃度は、収穫期に向けて増加した。オウトウ種子で、JAとMeJA濃度は一般的に収穫まで増加した。両果実で種子中のJAとMeJA濃度は果肉中のそれらより高かった。乾物重ベースで、種子中の濃度の変化は果肉中のそれらに先行した。 以上の結果は、果実発育初期に比較的に高いJAおよびMeJA濃度が、細胞分析などに関係している可能性、種子が果肉のJAおよびMeJA濃度に影響している可能性、クライマクテリック型果実のリンゴにおいて、これらが着色を始めとした成熟現象に関与している可能性を示唆する。
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Research Products
(1 results)