1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスに対する果樹類の葉と根の応答機構の解析
Project/Area Number |
11660038
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
新居 直祐 名城大学, 農学部, 教授 (30103261)
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Keywords | 果樹の葉と根 / 細胞小器官 / 根瑞細胞 / DAPI染色 / 塩類濃度 / グリシンベタイン |
Research Abstract |
1.カキについて、窒素施肥量の相違による葉の光合成活性に及ぼす影響を葉のクロロフィル含量とFv/Fm値との関係から検討した。窒素施肥量が増加すると、葉のクロロフィル含量ならびにFv/Fm値が増加した。しかし、クロロフィル含量が25ug/cm^2以上に達するとFv/Fm値はほぼ一定の値となった。また、Fv/Fm値は日中低下するが、クロロフィル含量の低い処理区でその低下率が高かった。 2.熱帯果樹のマンゴーを用いて、葉齢による光抑制について検討した。葉の拡大成長の初期はFv/Fm値は低く、葉の拡大成長の終了と同時に高くなり、その値は0.70〜0.75の値で推移した。晴天日におけるFv/Fm値の日変化をみると、拡大成長の過程にある葉が成熟葉よりも大きかった。 3.高温・低温、乾燥あるいは塩類などの環境ストレスに対する果樹葉の応答機構を解析するために、ベタイン類の定量法の検討と多くの果樹類の葉と根におけるそれらの含量を検討した。その結果、調査したいずれの果樹において、グリシンベタインを有していないことが明らかになった。スダチなどのカンキツ類にはプロリンベタインを、そしていずれの果樹においてコリンの存在を確認した。スダチを用いて、塩ストレス実験を実施し、塩濃度などとともに詳細な定量を実施中である。 4.窒素施肥量の多少や塩ストレスによる根端の細胞構造、特に細胞核についてDAPI染色から観察した。窒素を変えた処理区では、N-0区は、新根の発生はほとんど見られず、窒素量が増加するにつれて、新根量は多くなった。また、N-0区に比べて窒素量が多くなるほど細胞核は鮮明であった。 5.RuBisCOタンパク質ならびに高温に応答するタンパク質は窒素施肥量の増加に対応して増大した。
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