2000 Fiscal Year Annual Research Report
果実成熟に伴うACC合成酵素遺伝子の発現調節の解析
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11660039
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Research Institution | Kurashiki Sakuyo University |
Principal Investigator |
塩見 慎次郎 くらしき作陽大学, 食文化学部, 講師 (20309595)
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Keywords | ACC合成酵素 / Cucumis melo / Cucumis sativus / エチレン / クライマックテリック型果実 / プロモーター活性 / GUSトランジェントアッセイ |
Research Abstract |
平成11年度から平成12年度までの2年間にわたり,メロン果実とキュウリ果実の成熟様相の相違について,ACC合成酵素の遺伝子の発現調節とエチレンレセプター遺伝子の発現の解析を試みた。 1)メロンとキュウリのACS遺伝子は,cDNAの塩基配列のみならずゲノムレベルでの構造的特徴や塩基配列においても,それぞれ対応するキュウリのACS遺伝子どうしで非常によく似ていた。シスエレメント解析の結果,CS-ACS1とCMe-ACS1に共通のエレメントが多く存在していた。サザンブロット解析の結果,各ACS遺伝子はシングルコピーとして存在すると考えられた。 2)両果実のACS遺伝子のプロモーター活性をβ-グルクロニダーゼ(GUS)をレポーター遺伝子とするGUSトランジェントアッセイで調べたところ,メロン成熟果肉切片でキュウリのACS1遺伝子(CS-ACS1)のプロモーターが十分に活性をもっていた。さらに,メロン・キュウリの未熟果・成熟果肉切片を用いてACS1遺伝子のプロモーター活性を同じ方法で調べた結果,約2kbのプロモーター活性には両遺伝子で大差がなかった。 3)両果実におけるエチレンレセプター遺伝子のサザンブロット解析の結果,各レセプター遺伝子はシングルコピーとして存在こと,メロンおよびキュウリの品種間でよく保存されていることが考えられた。ノーザンブロット分析を行ったところ,キュウリ果実でETR・ERS両遺伝子がエチレンに依存した発現パターンを示し,すでに報告されているメロン果実での発現パターンと基本的に類似していた。 以上より,メロンとキュウリの成熟様相の相違は,エチレンシグナル伝達系のエチレンレセプター遺伝子発現より後の過程で,しかもACS1遺伝子の転写調節までの過程の何れかの段階で生じているものと推察された。
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[Publications] 塩見慎次郎,小倉恵実,中村怜之輔,久保康隆,稲葉昭次: "メロンおよびキュウリ成熟果におけるACC合成酵素遺伝子のプロモーター発現に及ぼすMCPの影響"園芸学会雑誌. 68(別冊1). 328 (1999)
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[Publications] 塩見慎次郎: "果実の成熟とエチレン"くらしき作陽大学研究紀要. 32. 15-25 (1999)
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[Publications] Shiomi,S.,E.Ogura,M.Yamamoto,R.Nakamura,Y.Kubo and A.Inaba: "Structural characterization of ACC synthase genes from melon and cucumber and their promoter activities determined by GUS transient assay."Scientific Reports of the Faculty of Agriculture Okayama University. 90. 27-35 (2001)