1999 Fiscal Year Annual Research Report
アントシアニン生合成経路に基づく花色の枝変り機構の解明
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11660040
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
山口 雅篤 南九州大学, 園芸学部, 教授 (10125180)
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Keywords | 枝変り / 花色変異 / アリル化アントシアニン / 生合成経路 / 花色素 / サイクリックアントシアニン / アシル化酵素 / 配糖体化酵素 |
Research Abstract |
本年度は、多くの枝変り品種群について花色素の成分化学的な知見を得ることを試みた。収集した中から、変異が多い枝変り品種群'バーバラ'familyを用いて、花色や花色素の変異の方向について調査を行い、得られた結果をアントシアニン生合成経路と関連付けて考察した。'バーバラ'familyは、濃桃色品種'バーバラ'を親とする枝変り品種群である。今回共試した品種は10品種であった。花色分析のため、これらの生花弁の測色(a^*とb^*)を色素計で測定した。また、花色素分析のため、これらの生花弁に含まれるアントシアニンを50%酢酸で抽出して、今回、カーネーションの花弁から調製した3種類の標準色素とのHPLCによるコクロマトグラフィーで分析した。1)花色の変異 ハンター色度図上で、花色は、元の濃桃色から白、赤および淡桃色へと多方向へ変異していた。これらの中でも6品種が桃色の淡色への変異を示した。2)花色素の変異 アントシアニンは、元のジグルコシド型マリル化アントシアニンのCyclicMPg3G5G(サイクリックマリルペラルゴニジン3,5-ジグルコシドから脱アシル化型のPg3G5G(ペラルゴニジン3,5-ジグルコシド)やモノグルコシド型のPg3MG(ペラルゴニジン3-マリルグルコシド)への質的な変異と元の色素の相対的な色素量の変異が認められた。後者は花色の淡色化に対応して、相対的な色素量から3タイプに分けられた。以上の結果から、花色変異は、配糖体化酵素(5GT)のM遺伝子の劣性への変異、アシル化酵素(AT)に関連するAc遺伝子の変異および濃淡に関与するS遺伝子の劣性の変異と推定された。なお、白色への変異は、水酸化酵素(F3H)の遺伝子の劣性への変異の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)