2000 Fiscal Year Annual Research Report
アントシアニン生合成経路に基づく花色の枝変り機構の解明
Project/Area Number |
11660040
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
山口 雅篤 南九州大学, 園芸学部, 教授 (10125180)
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Keywords | 枝変り / 花色変異 / 花色素 / アントシアニン / 生合成経路 / アシル化酵素 / サイナスブロッチ / 液胞 |
Research Abstract |
本年度は、花色と花色素組成の異なる2種類の枝変り品種群('バーバラ'family及び'テッシーノ'family)を供試し、これらの花蕾から調製した粗酵素液を用いて、アントシアニンのアシル化と配糖体化の酵素活性を調査した。その結果、アシル化については、供与体としてマロニルCoAを用いた場合はまったく活性が認められなかったが、スクシニルCoAを用いた場合は極微量であるが活性が認められた。配糖体化については、アッセイ系が十分でないためか、5GT活性がまったく認められなかった。また、これらの枝変り品種群を供試して、花弁表皮細胞におけるアントシアニンの分布調査を表皮細胞の切片を調製して行った。さらに、花弁同士の重なりによって生じた色変りの切り口(サイナスブロッチ)について、アントシアニンの分析を行った。その結果、表皮細胞におけるアントシアニンの分布は、紫味を帯びる変色系統のみ、色素が液胞内に拡ろがらず、アントシアノホア様や結晶構造体となって塊状に存在していた。枝変り品種の全てのサイナスブロッチの色と色素組成は、元の親のそれらと同様であった。 以上の結果をアントシアニン生合成経路上に位置付けて、枝変りの方向性から機構を考察した。両枝変り品種群とも花弁内部の組織(起源層のL II、III)は元の親と同様な花色素の遺伝子型をもち、表皮組織(起源層のL I)は、花色素に関して全て劣性の遺伝子型に変異しているものと推定された。特異な変異として、花色素がアシル化されない変異は、花色素が液胞内で拡ろがらず紫味を帯びた。液胞内での花色素の拡ろがりに単遺伝子が関与していることが示唆された。この遺伝子を特定するには、アシル化酵素のアッセイ系の確立が必要である。
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Research Products
(1 results)