1999 Fiscal Year Annual Research Report
宿主特異的ACR毒素のレセプター遺伝子の単離とその解析
Project/Area Number |
11660048
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
秋光 和也 香川大学, 農学部, 助教授 (80263888)
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Keywords | ACR毒素 / Alternaria / Brown spot病 / カンキツ / 宿主特異的毒素 / tRNA-Ala / ミトコンドリア / レセプター |
Research Abstract |
カンキツbrown spot病菌は宿主特異的毒素であるACR毒素を生産し、本毒素が病原性の主因子である。本毒素はラフレモン等のカンキツのみに高い毒性を示し、その作用点は宿主カンキツのミトコンドリアである。先に、本来ACR毒素に耐性である大腸菌を毒素感受化させる365bpの遺伝子(ACRS)をラフレモンから単離した。本研究では、このACRS遺伝子を含む4300bpのラフレモンDNA断片(ACRS 3 2)をミトコンドリアゲノムから単離し、ACRS遺伝子を含む約2600bpの領域(ACRS22kpn32)の全塩基配列を決定した。この配列の相同検索の結果から、ACRS遺伝子はtRNA-Alaのイントロン部分に位置することを明らかにした。植物では、tRNA-Alaのイントロン部分はtRNA-Alaとともに転写された後、tRNA-Alaの切断とともにその転写物のイントロン部分が翻訳され、本来のtRNAに関係ない別の蛋白をコードすることが明らかとなっている。ACRS遺伝子このtRNA-Alaのイントロン部分に存在することから、ミトコンドリアにおいてtRNA-Alaの発現とともに転写され、tRNA-Alaの切断とともに翻訳されたその遺伝子産物が毒素感受化を担うものと推測された。また、ACRS遺伝子の推定アミノ酸配列は、ドーパミンレセプター様蛋白、グルタミン酸レセプター、黄体形成ホルモンレセプター等の幾つかのトランスメンブレン型のレセプターと部分的相同性を示した。そこで、これらのレセプターと相同性が高かったアミノ酸部位の毒素感受化機構における役割を点変異、欠失変異実験により検討した。これらの部位の1つ、もしくは2つを同時に置換した変異ACRS遺伝子を大腸菌において発現させたが、ACR毒素感受度の低下は見られなかった。しかし、4つのアミノ酸部位を同時に置換した変異ACRS遺伝子を大腸菌において発現させると34.2%の毒素感受度の低下が見られた。次に、ACRS遺伝子配列内には植物ミトコンドリア遺伝子のプロセッシングモチーフが存在し、その下流に先にあげたレセプターとの相同性領域が含まれていた。そこで、ACRS遺伝子をモチーフ直後にある制限酵素AflII部位で切断し、大腸菌で発現させ、毒素に対する感受性を検定したところ、毒素感受性は完全に消失した。これらの結果は、ACR毒素抵抗性は本遺伝子の転写物のプロセッシングにより制御される可能性を示した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Moriguchi T.,et al.: "Molecular cloning of a homologue of dad-1 gene in citrus:distinctive expression during fruit development"Biochim Biophy Acta. 1490. 198-202 (2000)
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[Publications] Masunaka A.,et al.: "Homologues of the Tangerine Pathotype of Alternaria alternata to AK-toxin Biosynthesis Gene AKT1,AKT2 and AKTR."Phytopathology. 90(In press). (2000)
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[Publications] Isshiki,A.,et al.: "Purification of Polygalacturonases Produced by the Pear Scab Pathogens,Venturia nashicola and Venturia pirina."Phyiol Mol Plant Pathol. 56(In press). (2000)
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[Publications] Arase,S.,et al.: "A Recessive Lesion Mimic Mutant of Rice with Elevated Resistance to Fungal Pathogens."J Gen Plant Pathol. 1(In press). (2000)
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[Publications] Akimitsu,K.,et al.: "Citrus Responses to a Pathogenicity Factor:The Brown Spot Disease Caused by the Rough Lemin Pathotype of Alternaria alternata."Proceeding of US-Japan Scientific Seminar on Delivery of Pathogen Signals to Plant.. (In press). (2000)
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[Publications] Sano,A.,et al.: "A partial sequence of lipoxygenase gene from rough lemon"Tech Bull Fac Agr Kagawa Univ. 51. 37-44 (1999)
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[Publications] 大谷耕平、他: "ACR毒素感受性遺伝子に関する研究(III) ACR毒素感受性遺伝子 ACRSの大腸菌発現系を用いた機能解析"日植病報. 65. 344 (1999)
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[Publications] 増中 章、他: "タンゼリンbrown spot菌におけるAK毒素生合成遺伝子AKT1,AKT2,およびAKTRの相同配列の分布について"日植病報. 65. 347 (1999)