2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660051
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大島 一里 佐賀大学, 農学部, 助教授 (00176869)
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Keywords | カブモザイクウイルス / 分子系統樹 / リコンビナント / ジャガイモYウイルス / 分子造化 |
Research Abstract |
植物ウイルスのカブモザイクウイルス(Turnip mosaic virus,TuMV及びジャガイモYウイルス(Potato virus Y,PVYは世界中の農作物に大きな被害をもたらしている。その中でもTuMVはアブラナか植物や園芸植物に大きな被害をもたらす重要なウイルスとして知られている。そこで、本ウイルスの遺伝的多様性を探り、また遺伝子世界地図を探るためにTuMVを本邦及び世界各国より250分離株採集した。即ち、本邦の北海道から沖縄まで200分離株を採集し、世界中の5大陸から50分離株を採集した。まず、TuMVゲノムの両末端に位置するP1及び外被タンパク質(CP)遺伝子について塩基配列を決定した。その後、PHYLIPの近隣結合法を用いて分子系統樹を作成したところ、P1及びCP系統樹において、South-West Eurasian lineage, Brassica lineage, Raphanus lineage及びRaphanus/Asteraceae lineageが認められた。South-West Eurasian地方で採集した分離株は遺伝的に多様であったことから、TuMVは地中海を中心としたSouth-West Eurasian地方がTuMVの起源と考えられ、Brassica属或いはRaphanus属植物に宿主適応し進化し、現在TuMVはBrassica属植物からRaphanus属植物へ侵略し被害をもたらすようになってきたと考えられた。また、P1及びCP系統樹の位相を見ると、良く似てはいるが、必ずしも一致したものではなかった。そこで、Phylpro program(Weiller,1998)を用いて解析したところ、位相の異なった分離株の多くはリコンビナントであり、P1或いはCP遺伝子内にリコンビネーションサイトを持っている分離株、さらにP1及びCP遺伝子間にリコンビネーションサイトを持っている分離株があることが明らかとなった。リコンビナントと認められた分離株は全分離株中約20%であり、本研究で解析したP1及びCP遺伝子は、全長ゲノムの約4分の1の長さであることから、TuMVのリコンビナント率は、さらに高いと思われる。以上の結果から、TuMVは宿主適応、地理的隔離、病原性の隔離、さらにリコンビネーションを繰り返しながら起源地から世界中へ拡散してきており、リコンビネーションが宿主域拡大に大きな影響を与えていることが明らかとなった。またPVYについても本邦より採集し、遺伝的多様性について検討した。
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Research Products
(1 results)