チャハマキにおける性フェロモン抵抗性の検証とその機構の解明

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11660054
• Research Institution: Kinjo Gakuin University
• Principal Investigator: 小野 知洋 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (50125192)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 佐藤 安志 農林水産省, 野菜・茶業試験場, 研究員 ; 戒能 洋一 筑波大学, 農林学系, 助教授 (20183775)
• Keywords: チャハマキ / 性フェロモン / 抵抗性系統 / 交信かく乱法 / 地域個体群

Research Abstract

静岡県榛原郡の茶園における、性フェロモン成分を含む交信かく乱剤に対するチャハマキ及びチャノコカクモンハマキ抵抗性個体群の出現は、性フェロモンを利用した新たな害虫防除法の実用化を考えるうえで重要な問題を提起しただけでなく、自然界における性フェロモンシステムの進化を考える上できわめて重要かつ興味深い問題を提供している。今回表出したこの問題に対する実用的な対策としては、抵抗性個体群に対抗して使用するかく乱成分を一部変更するという対応が功を奏し、現在実用面での問題はとりあえず解決された状況にある。しかし、この問題は、上述した性フェロモンシステムの容易な変化の可能性という、より根本的な視点に立つとき、今後生ずるであろう同様の問題への対応策検討の上で、現時点で詳細な機構解明をぜひとも必要とする課題である。
本研究においては、抵抗性が生じたと考えられる個体群(初倉個体群)の性フェロモンに対する反応特性を人為的に維持あるいは選抜しつつ、抵抗性がみられない地域の個体群(金谷個体群)との間で多面的な比較を試みている。まず、比較する2系統のND5遺伝子の塩基配列を比較し、元来これらが同一個体群に由来するものであることを確認した。その上で、雌の保有性フェロモン量と構成成分比、雄の行動特性、雄のEAG反応などについての比較を試みているが、これまでのところ、明確な個体群間の差を見出すに至っていない。次年度は検討の方法をさらに改善して、より詳細な比較を行う計画である。