2001 Fiscal Year Annual Research Report
エンドファイト(植物内部共生菌)の共生成立過程とその特異性発現機構の解明
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11660055
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Research Institution | Research Institute of Agricultural Resources, Ishikawa Agricultural College |
Principal Investigator |
古賀 博則 石川県農業短期大学, 農業資源研究所, 教授 (60290079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷内 修 石川県農業短期大学, 農業資源研究所, 助手 (40227963)
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Keywords | エンドファイト / 植物共生菌 / 特異性 / エネルギーフィルター電子顕微鏡 / EF-TEM / 透過性 / 元素分析 |
Research Abstract |
先に、親和性・非親和性の特異性が発現される部位の一つが、エンドファイト菌糸と植物細胞壁の間の細胞間質であり、この細胞間質が植物に由来するものであることを免疫電顕的に明らかにした。今年度は、この細胞間質の透過性が親和性と非親和性組合せで異なるかどうかを調べる一つの方法として、エネルギーフィルター電子顕微鏡(EF-TEM)による元素分析を行った。 その結果、親和性組合せにおいては、エンドファイト菌糸および宿主の細胞質であるシンプラスト(細胞内部分)では、イオウ、窒素および亜鉛が多量に認められたが、ケイ素、リン、カルシウムおよび酸素は僅かしか認められなかった。それに対し、宿主細胞壁、細胞間質、エンドファイト菌細胞壁、それに細胞間隙のいわゆるアポプラスト(細胞外部分)では、ケイ素、リン、カルシウムおよび酸素が多く、イオウ、窒素および亜鉛は少なかった。 一方、非親和性組合せにおいては、シンプラストでは親和性組合せと同様に、イオウ、窒素および亜鉛が多量に認められたが、ケイ素、リン、カルシウムおよび酸素は僅かしか認められなかった。それに対し、アポプラストでは親和性組合せと異なり、イオウ、窒素および亜鉛と同様に、ケイ素、リン、カルシウムおよび酸素も僅かしか認められなかった。 イオウ、窒素および亜鉛などはタンパク質を構成している元素で流動性に乏しいのに対し、ケイ素・リン・カルシウムおよび酸素などは流動性物質の構成元素で透過性と密接に関わっていると考えられる。これらのことから、親和性組合せではケイ素、リン、カルシウムおよび酸素などがアポプラストを通じて活発に流動しているのに対し、非親和性組合せではこれらの物質の移動がほとんど停止していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古賀博則: "エンドファイト(植物内部共生菌)のコロイド金抗体法を用いたSEM検出"医学生物学電子顕微鏡技術学会誌. 16. 43-45 (2001)
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[Publications] 古賀博則, 秋山典昭, 中谷内修: "Post-embedding法による免疫電顕のNeotyphodiumエンドファイト(植物内生菌)への応用"医学生物学電子顕微鏡技術学会第17回学術講演会予稿集. 40 (2001)
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[Publications] 古賀博則: "エンドファイト研究の現状と展望"植物防疫. 55. 475-478 (2001)
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[Publications] 古賀博則, 栗原孝行, M.T.Christensen, 中谷内修: "Neotyphodiumエンドファイトと寄生植物との接触界面のEF-TEMによる解析"医学生物学電子顕微鏡技術学会第18回学術講演会予稿集. (2002)