1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660056
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金勝 廉介 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60092871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 孝彦 信州大学, 繊維学部, 助教授 (10164542)
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Keywords | テンサン / 人工飼料 / 腹脚 / 引張り試験 / 飼料組成 / 歩行行動 |
Research Abstract |
幼虫の把握力を観客的に比較できるよう、引っ張り試験機を活用した測定系とそれにより得られたデータの解析条件を検討した。 天蚕の脚の把握力は、人工飼料育期間が長期化するほどクヌギ樹放飼育個体との差が拡大することが確かめられた。一例を挙げると、5齢1日目における把握力は放飼育約300gfに対して4齢まで人工飼料育区約30gfであった。飼育時の足場条件が脚の把握力に及ぼす影響については、木製の棒の足場を有する人工飼料区においても把握力に改善がみられず、逆に特別な足場を設けない平飼いであってもクヌギ生葉育であれば放飼育と同等の把握力が観測された。このことより、飼料条件の違いが把握力の強さを決定すること、また人工飼料中のクヌギ粉末含量や水分率により影響を受けないことも確かめられた。飼料表面の水素イオン濃度経時的変化については基礎データ収集中である。 このように人工飼料育をすることで腹脚把握力の低下した個体をクヌギ生葉に移行させてもその齢の期間内では把握力の回復はみられず、就眠・脱皮を経て次の齢になり初めて把握力が回復することが確かめられた。たとえば、3齢まで人工飼料育区の幼虫を4齢から生葉育に移した場合、その齢中は約30gf程度でかわりはないが、5齢起蚕では放飼育区の約半分の150gf程度まで回復した。 腹脚の形態を調査したところ、人工飼料育個体の鈎爪の配列や数は生葉育個体のそれと比べてとくに違いは認められなかった。幼虫の歩行行動の解析はカイコ壮蚕での観察法のノウハウをテンサン稚蚕期に適用すべく基礎条件の検討が進行中である。
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