2000 Fiscal Year Annual Research Report
電気泳動・電気浸透による有機無機複合汚染土壌の浄化技術の基礎づけ
Project/Area Number |
11660066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 信一郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (60108678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 啓 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (90315135)
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Keywords | 電気永動 / 電気浸透 / 土壌汚染 / 土壌修復 / 重金属 / 有機塩素化合物 |
Research Abstract |
今年度は3つの点について研究を行った.一つは,これまでに得た実験データを総合して,電気化学的修復技術の効率上昇の阻害要因を抽出することと,次に数値シミュレーションコードを開発することである.そしてもう一つは,有機化合物による汚染土の修復に関する実験を開始することである. 最大の阻害要因は,陽極からの土壌の酸性化によって溶解するアルミニウムイオンが酸の前線で沈殿-溶解を繰り返しながらきわめてゆっくりと陰極方向へ移動するため,電解質の停滞領域ができ,この領域内では電位勾配が非常に小さく,この領域にとらえられたイオンはきわめてゆっくりとしか泳動できないことであることが明らかになった. また,電場中でのイオンの輸送を精度よくシミュレートするための計算コードを,特性曲線法と差分法を用いて開発した.このコードは塩化ナトリウム溶液のナトリウムイオンと塩化物イオンの電気泳動の予測に適用したところ,電位分布や溶液のpHの急激な変化に関して,解析解に近い結果を与えることを確認した.今後,鉱物の溶解反応などを考慮できるように拡張する予定である. 有機化合物汚染土の修復実験に関しては,まず有機化合物の選択を行った.文献調査の結果,現在もっとも問題となっているのは重質油による汚染であると考えられた.そこで,A重油を用いて人工的な汚染土を作成し,まず土壌中の重油の簡易定量法を確立した.次に電気泳動と電気浸透の効果を両方とも評価するため,カラム型の密閉式実験装置を自作した.現在,この装置と重油定量法を用い,除去に適した界面活性剤選択のための実験を行っている.
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[Publications] Wada,S.-I.and Umegaki,Y: "Major ion and electrical potential distribution in soil under electrokinetic remediation."Environmental Science and Technology. (印刷中). (2001)
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[Publications] 中川啓,和田信一郎,籾井和朗: "電場における溶液中化学種の輪送に関する数値計算"水工学論文集. 45巻. 175-180 (2001)
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[Publications] Wada,S.-I.: "Soil pollution status in Japan".Proceedings of the 3^<rd> Joint Workshop at the Faculty of Land and Water Resources Management,Hanoi. 1-4 (2000)
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[Publications] Wada,S.-I: "Electrokinetic soil decontamination technology".Proceedings of the 3^<rd> Joint Workshop at the Faculty of Land and Water Resources Management,Hanoi. 19-27 (2000)