1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660087
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田口 寛 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60024593)
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Keywords | 活性酸素 / 抗酸化能 / フローサイトメーター / ラジカル / ESR / ニコチン酸関連化合物 / HL-60 / グルコース |
Research Abstract |
Alloxanは、膵臓のβ細胞を選択的に破壊するので、実験的に糖尿病を誘発する物質として知られている。その作用メカニズムは、alloxan自身が弱い酸化剤で、一度還元されてジアルル酸へと還元された後に再酸化され、再びalloxanになるときに酸素が一電子還元されてO_2^-を生じ、Fe^<3+>存在下でHarber-Weiss反応により、O_2^-とH_2O_2から・OHが生成し、細胞が傷害されるとの説が提唱されており、alloxanの催糖尿病には・OHが関与していると考えられている。ESRを用いて調べた結果、alloxan自身にラジカル産生能があることがわかったので、ESRを用いてalloxanラジカルに対するニコチン酸関連化合物の影響を調べ、さらに動物個体レベルにおいても同様の知見が得られるかどうかを検討した。その結果、Pyridine,Benzoic acid,Cinchomeronic acid,Nicotinic acid-N-oxideで、抑制が見られた。 そこで、これらの物質を含むニコチン酸関連化合物をラットに投与し、血中のグルコース濃度、インスリン濃度を測定した。その結果、ほとんどの化合物には、高血糖状態の抑制は見られなかったが、Pyridineを投与したものにおいては、高血糖状態の抑制が見られた。 次に、ニコチン酸関連化合物の・OH消去能をESRでスピントラッピング法を用いて調べた。その結果イソニコチン酸、イソニコチンアミド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド、6-アミノニコチン酸、6-アミノニコチンアミド、ピリジンなどで・OHの強い消去がみられた。さらに、実際に細胞系においても抗酸化作用があるかどうかを、これらの化合物を中心に調べた。あらかじめニコチン酸関連化合物で処理したHL-60細胞に過酸化水素で酸化ストレスを負荷し、細胞内の過酸化状態の増減を調べた。酸化ストレス測定のプローブとしてDichlorofluorescin diacetateを用い、Flow cytometoryを用いて検出した。その結果、ニコチン酸ヒドラジドとイソニコチン酸ヒドラジドは、酸化ストレスを減少させていた。これらのことから、両化合物は、細胞内においても抗酸化作用を持つことが示唆された。さらに、過酸化水素による酸化ストレス誘導のアポトーシスにおいても、ニコチン酸ヒドラジドとイソニコチン酸ヒドラジドで、アポトーシスが抑制された。
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