2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660088
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
榊 利之 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70293909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (60204468)
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Keywords | ビタミンD / シトクロームP450 / 部位特異的変異 / 水酸化酵素 |
Research Abstract |
(1)ヒト由来ビタミンD_325位水酸化酵素(CYP27A1)の構造と機能の解析 CYP27A1を大腸菌内で大量発現させ、ビタミンD_3に対する代謝を調べたところ、主要代謝産物である25-ヒドロキシビタミンD_3(25(OH)D_3)を含めて8種類の代謝産物が検出された。HPLCおよび質量分析により、これらは26(OH)D_3、27(OH)D_3、27-oxo-D_3、1α,25(OH)D_3、24,25(OH)D_3、25,26(OH)D_3、および未知の脱水素体と推定された。種々の代謝実験を行い、CYP27A1によるビタミンD_3代謝経路を明らかにし、速度論的解析により、それぞれの反応の生理的意義を推測した。 (2)ヒト由来ビタミンD_31α位水酸化酵素(CYP27B1)の構造と機能の解析 くる病患者由来変異型9種および部位特異的により得た種々の変異型CYP27B1を大腸菌で発現させ、その性質を調べた。しかし、CYP27B1は大腸菌での発現量が低く分光学的な解析ができないため、発現量がきわめて高いCYP27A1を用いて詳細な分光学的解析を行った。CYP27A1とCYP27B1の一次構造上の相同性は40%であるが、変異箇所9カ所の内、8カ所は同じアミノ酸であり、これらのアミノ酸残基はそれぞれのP450において同様の役割を果たしていると考えられた。CYP27A1の変異体の解析結果から、9種の変異箇所の内、1カ所は酸素の活性化に関与していることが示唆されたが、他の変異箇所はいずれもヘムの固定化やP450の構造を保つのに重要な役割を果たしていることが示唆された。 (3)ヒト体内におけるビタミンD_3および医薬用ビタミンD_3類縁化合物の代謝 ヒト由來CYP27B1とヒト由来ビタミンD_324位水酸化酵素(CYP24)によるビタミンD_3の代謝(昨年度報告)と上記(1)で述べたCYP27A1の代謝経路を総合することにより、ヒト体内で検出される30種を超えるビタミンD_3代謝物のほとんどが、これら3種のP450による代謝の組み合わせにより説明できることがわかった。本研究で確立した3種のP450の発現系は種々のビタミンD_3代謝物の生産に応用でき、また、医薬用ビタミンD_3類縁化合物のヒト体内における代謝を予測するシステムとして有用である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sawada,N.,Sakaki,T.,Ohta,M.Inouye,K.: "Metabolism of vitamin D_3 by human CYP27A1"Biochem.Biophys.Res.Comun.. 273. 977-984 (2000)
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[Publications] Sakaki,T.,Sawada,N.,Komai,K.Yamada,S.,Ohyama,Y.,Inouye,K. et al.: "Dual metabolic pathway of 25-hydroxyvitamin D_3 catalyzed by human CYP24"Eur.J.Biochem.. 267. 6158-6165 (2000)
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[Publications] Sakaki,T.,Inouye,K.: "Practical application of mammalian Cytochrome P450"J.Biosci.Bioeng.. 90. 583-590 (2000)
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[Publications] Inouye,K.,Sakaki,T.: "Enzymatic studies on the key enzymes of vitamin D metabolism ; 1α-hydroxylase (CYP27B1) and 24-hydroxylase (CYP24)"Biotechnol.Annu.Rev.. (in press). (2001)
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[Publications] Sakaki,T.,Sawada,N.,Nonaka,Y.Ohyama,Y.,Inouye,K.: "Molecular Steroidogenesis"Okamoto,M.,Ishimura,Y.,Nawata,H.. 2 (2000)
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[Publications] Sawada,N.,Sakaki,T.,Kitanaka,S.Takeyama,KI.,Kato,S.,and Inouye,K.: "Molecular Steroidogenesis"Okamoto,M.,Ishimura,Y.,Nawata,H.. 2 (2000)