1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラクトバチルス属乳酸菌の菌体による免疫賦活に関する研究
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11660089
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 憲二 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70109049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 尚徳 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (20212045)
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Keywords | 乳酸菌 / ラクトバチルス属 / 免疫賦活 / IgA / 腸管免疫 / パイエル板 |
Research Abstract |
本研究はラクトバチルス属乳酸菌の菌体によって動物の腸管の免疫作用が増強されるかどうかを明らかにすることを目的として行った。即ち、ラクトバチルス属乳酸菌が腸管のリンパ組織に作用して分泌型IgAが誘導生産されるかを検討した。 先ず、腸管免疫の指標となる分泌性IgAの測定について、抗IgA抗体を用いたELISA法による定量法を確立した。そこで、ヒト糞便からMRS培地とRogosa培地を用いてラクトバチルス属乳酸菌を単離した。本菌を培養後、10^9cellを経口ゾンデにてBALB/cマウスに毎日投与し、一週間後に腸内容物を取り出してIgA濃度を測定した。その結果、生理的食塩水のみを与えたコントロールのマウスの腸内容物のIgA濃度に比べて著しく上昇していることを確認した。そこで、本菌を糖資化試験などによって同定を試みたところ、Lactobacillus plantarumの一菌株と同定した。次に、本単離菌による免疫賦活をin vitro系によって調べた。マウスの小腸よりパイエル板組織を採取し、これを圧搾処理してパイエル板細胞を調製した後、本菌を超音波処理して得られた菌体破砕物を添加してインキュベートした。培養液中に産生されるIgA量はELISA法で定量することによって調べた。その結果、IgA量の著しい増加が見られ、本菌が菌体レベルだけでなく、菌体の破砕物によっても免疫を賦活することを確認した。さらに、本菌を超音波処理し、遠心分離した後に調製した細胞壁画分をマウスに経口投与することによっても免疫賦活されることを確認した。
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