Research Abstract |
本研究の目的は,(1)原核生物由来で,且つ,ペプスタチン非感受性CPである PCP,XCP,J-4及びクマモリシンを対象に多角的に検討し得られる成果を,平行して進められているX線結晶構造解析の成果と総合して,これらCPの構造と機能を多面的に考察する。(2)また,ヒト脳より発見されたCPと対比することにより,これらCPの分子進化を考察する。(3)更に,CPの全体像を探る。 1.J-4酵素のクローニング クローニングの結果,(1)本酵素遺伝子は,1,677bpのオープンリーディングフレームより構成され,191アミノ酸残基のプレプロ領域と368アミノ酸残基の成熟領域を有する,(2)本酵素遺伝子は,同じBacillus由来のクマモリシンと69%の相同性がある,(3)触媒残基は,PCPとXCPの相同性に基ずきAsp165とAsp319と推定される,などが明かとなった。 2.J-4及びクマモリシンの高発現系の構築 クマモリシンについては,大腸菌JM109を宿主とする高発現系の構築に成功した。一方,J-4酵素については,現在,検討中である。 3.クマモリシンのサブサイト構造解析 77種の新世代合成基質を使用して,反応速度論的解析を行い,(1)S_2サブサイトは,極めて狭く,選択性が高いこと,(2)S_2サブサイトは,アスパラギン酸プロテアーゼと異なり,親水性アミノ酸で構成されている,などが判明した。(2)の特徴は,他の細菌由来CPにも認められ,細菌由来CP全体の特徴であることが明かとなった。 以上,本年度に計画されたものがほぼ予定どうりに実施された。
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