2000 Fiscal Year Annual Research Report
メタン酸化細菌のシャペロニンと生物処理技術への応用
Project/Area Number |
11660098
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
内山 裕夫 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 室長 (00185042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 暢彦 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (60292520)
冨岡 典子 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 主任研究員 (40168399)
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Keywords | メタン酸化細菌 / メタンモノオキシゲナーゼ / シャペロニン / トリクロロエチレン |
Research Abstract |
我々はバイオレメディエーション技術によるトリクロロエチレン浄化を行うため、メタン酸化細菌Methylocystis sp.strain M(M株)を単離したが、M株は生体触媒としては比較的寿命が短く今後の解決すべき課題であることを明らかにした。本研究ではこの問題を解決するために、分解酵素である可溶性メタンモノオキシゲナーゼ(sMMO)遺伝子上流域にコードされているシャペロニン様遺伝子に注目し、この全塩基配列を決定すると共にメタンモノオキシゲナーゼ発現との関連性を明らかにする。本年度は、以下の点を明らかにした。 1.M株のsMMO遺伝子群をE.coliで発現させるための各種発現コンストラクトを作成し、検討した。プロモーター領域およびその上流のシャペロニンCpn10、Cpn60全てを含まない、構造遺伝子部分のみの形質転換株で、ヒドロキシラーゼのα、βサブユニットが大量に産生されたが、封入体を形成した。また、Cpn10、Cpn60をGST融合タンパクとしてそれぞれ発現させることを試みた結果、Cpn10は可溶性であったがCpn60は不溶性として大量に生産された。 2.Pseudomonas pudidaの系にて同様に各種発現コンストラクトを作成してsMMO遺伝子群の発現を試みたが、sMMO各コンポーネント遺伝子の転写および一部コンポーネントの翻訳は認められたものの、sMMO活性は見られなかった。 3.上記実験で見られた封入体形成を解決するために、シャペロン発現ベクターを用いた共発現効果を検討したが、解決することは出来ず、また、培養温度等の検討による解決を図ったが改善されなかった。 以上より、当初の目的であったM株のトリクロロエチレン分解活性の長期持続化は達成できなかったが、未だ不明であるsMMO遺伝子群の調節機構の解明および封入体形成の解決が今後まず取り組むべき問題点であることが明らかとなった。
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