2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼC調節領域の化学合成と構造機能解析
Project/Area Number |
11660109
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
入江 一浩 京都大学, 農学研究科, 助教授 (00168535)
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Keywords | ホルボールエステル / プロテインキナーゼC / 発がんプロモーター / 亜鉛フィンガー / 固相合成 |
Research Abstract |
タンパク質リン酸化酵素・プロテインキナーゼC(PKC)は、強力な発がんプロモーター・ホルボールエステルの主要なレセプターである。PKCは通常、触媒領域が調節領域に覆われていて不活性であるが、リン脂質存在下、発がんプロモーターがClドメイン(ClA、ClB)に結合することによってコンホメーションが変化し、活性化される。昨年本研究者らは、全PKCアイソザイム(PKCα,β,γ,δ,ε,η,θ)のClAおよびClBを個別に化学合成し、これらの亜鉛によるフォールディング条件を確立するとともに、θ-ClAを除く全PKC Clペプチドのホルボールエステル[phorbol-12,13-dibutyrate(PDBu)]に対する解離定数(K_d)を初めて正確に測定することに成功した。これらのペプチドライブラリーを用いて、各種ホルボールエステル誘導体(4β-deoxy-PDBuおよび12-epi-PDBu)の全PKC Clペプチドに対する結合定数(K_i)を[^3H]PDBuの結合阻害実験によって測定した。その結果、4β-deoxy-PDBuの各PKC Clペプチドに対する結合能はPDBuと全く同等であることが判明し、ホルボールエステルの4位水酸基はPKCとの結合に不必要でることが明らかになった。本知見は、PKC Clドメインの結晶構造と溶液中での構造が必ずしも一致しないことを示す初めての実験事実であり、ホルボールエステルとPKC Clドメインとの結合様式を考えるうえで重要な指針を与えた。一方、12-epi-PDBuの各PKC Clペプチドに対する結合能は、PDBuよりも20-60倍弱かった。これより、ホルボールエステルの12位水酸基がβ配置であることが、PKCとの結合において重要であることが判明した。
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[Publications] Kazuhiro Irie: "Synthesis and tumor-promoting activities of 12-epi-phorbol-12,13-dibutyrate"Biosci. Biotechnol. Biochem.. 64・11. 2429-2436 (2000)
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[Publications] Minoru Tanaka: "The C4 hydroxyl group of phorbol esters is not necessary for protein kinase C binding"Bioorg. Med. Chem. Lett.. 11・5. 719-722 (2001)