2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660114
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
生方 信 富山県立大学, 工学部, 教授 (60168739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 信康 富山県立大学, 工学部, 助手 (60281250)
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Keywords | indocarbazostatin / K252a / PC12細胞 / 阻害剤 / PKC / NGF |
Research Abstract |
昨年度まで、PC12細胞(ラット副腎髄質褐色細胞)の、NGFにより誘起される神経突起伸展を阻害する物質として、一放線菌Streptomyces sp.の培養液から、indocarbazostatin(1)と命名した新規化合物を単離構造決定した。本物質はカルモジュリン阻害剤として注目を集めていたK-252a(2)と類似したインドカルバゾール系抗生物質であり、PC12細胞に対する神経突起伸展阻害活性の最小有効濃度は、K-252aの約33倍(6nM)という値をしめした。 本年度は、化合物1の類縁体である新規物質indocarbazostatin B(3)の単離構造決定に成功した。本物質のPC12細胞に対する神経突起伸展阻害活性の最小有効濃度は24nMであった。化合物1及び3のPC12細胞に対する細胞毒性をMTT法及びCalcein-AM法を用いて比較したところ、K252aが最小有効濃度の3倍で毒性を示すのに対し、1は最小有効濃度の9倍においても顕著な細胞毒性を示さなかった。また、ラット脳由来のプロテインキナーゼC(PKC)に対するIC50は1:2.0nM,3:8,5nM,K-252a:35nMであった。 K-252aは、細胞内のTrkをはじめとするプロテインキナーゼ類を阻害することで、PC12細胞の分化誘導を阻害することが知られている。分化誘導と細胞毒性並びにPKC阻害活性の差は、細胞膜透過性の違い、あるいはプロテインキナーゼ群、特に分化誘導に関与するキナーゼに対する特異性の違いを反映していると考えられ、indocarbazostatin類の生物学的性質をより詳細に検討する必要がある。現在、これらの化合物の生産性の向上を目指して、生産菌の育種を行っている。
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[Publications] 松浦信康,為広紀正,中島範行,生方信: "新規NGF誘導神経突起伸長阻害作用物質Indocarbazostatin"日本農芸化学会誌. 臨時増刊号. 334 (1999)
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[Publications] M.Ubukata,N..Tamehiro,N.Matsuura,N.Nakajima: "Indocarbazostatin, a novel inhibitor of NGF-induced neurite outgrowth from rat pheochromocytoma PC12 cells"The Journal of Antibiotics. 52. 921-924 (1999)
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[Publications] 生方信,為広紀正,馮宇飛,松浦信康,中島範行: "新規神経突起伸長阻害物質インドカルバゾスタチン類の構造と活性"第42回 天然有期化合物討論会 講演要旨集. 187-192 (2000)