1999 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンEフリーラジカル捕捉反応生成物の高感度分析法の開発と生体への応用
Project/Area Number |
11660124
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山内 亮 岐阜大学, 農学部, 助教授 (50126760)
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Keywords | ビタミンE / フリーラジカル / 脂質過酸化反応 / 電気化学検出 / 化学発光検出 |
Research Abstract |
ビタミンEの脂質フリーラジカル捕捉反応生成物を高感度に分析する方法を確立した。まず,ビタミンE-リン脂質ペルオキシルラジカル付加体について化学発光検出法を検討した。HPLCで分離した付加体を酸性条件下でルシフェリン誘導体および鉄キレートと反応させたところ化学発光が生じ,本付加体の選択的高感度検出が可能となった。一方,電気化学検出器を用いた方法についても検討したところ,全てのビタミンE反応生成物を同時に分析することは不可能であったので,キノン体とリン脂質ペルオキシルラジカル付加体をそれぞれの条件で分析することとした。まず,キノン体は,HPLCカラムで分離した化合物を亜鉛粉末を充填したカラムを通過させることによってヒドロキノン体とし,これを電気化学的に検出することによって高感度に分析することができ,この条件で同時にビタミンEの分析も可能であった。一方,リン脂質ペルオキシルラジカルとの付加体は,白金黒を充填したカラムを通過させることによってビタミンE部位をヒドロキノン体に還元し,これを電気化学検出することによって高感度分析が可能となった。次に,これらの分析手法を生体試料へ適用する際の条件について検討した。ヒト血液より総脂質をクロロホルム/メタノールで抽出し,得られた脂質溶液を直接HPLC-電気化学検出法で分析したところ種々の妨害ピークが認められた。そこでHPLC分析の前処理として、脂質溶液をシリカゲルNH_2固相抽出カラムにのせ,クロロホルムとメタノールで順次溶出させた。その結果,クロロホルム溶出区分からはビタミンEとキノン体が,メタノール溶出区分からは付加体がそれぞれ回収された。この前処理操作は,1つの生体試料から全てのビタミンEフリーラジカル捕捉反応生成物の分析試料を調製することができるので,今後,この手法を使用して生体内脂質過酸化におけるビタミンE反応生成物を検討していく予定である。
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