2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規な高血圧モデルラットを用いたアスコルビン酸摂取の高血圧病態に対する影響の解析
Project/Area Number |
11660125
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堀尾 文彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (20165591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 浩行 近畿大学, 高血圧研究所, 教授 (60113148)
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Keywords | ビタミンC / アスコルビン酸 / 高血圧 / コラーゲン / カテコールアミン / 脳卒中 |
Research Abstract |
当研究室でのみ維持しているアスコルビン酸生合成不能高血圧自然発症ラット(SHR-od)を用いて、下記の(1)および(2)の項目の実験を行った。また、新たに進行中のアスコルビン酸生合成不能脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP-od)の作出過程について(3)に報告する。 (1)SHR-odにおけるAsA欠乏による血圧低下の機構の解明 AsA欠乏によるSHR-odの血圧低下の機構を考える上で、昇圧作用を持つノルエピネフリンおよびエピネフリンの合成がAsA欠乏により低下しているのではないかという可能性を考えた。AsAはドーパミンからノルエピネフリンを生成するドーパミンβ-ヒドロキシラーゼのコファクターである点からこの可能性に着目した。 しかしながら、個体全体での合成量を反映するとされる尿中ノルエピネフリンおよびエピネフリン量は、AsA欠乏群でむしろ増加していた。また副腎の両物質の濃度もAsA欠乏群で上昇していた。 これらの結果からは、AsA欠乏によってノルエピネフリンおよびエピネフリンの産生量が減少したことにより血圧低下が起こった可能性は低いと推定された。 (2)AsA摂取の高血圧性血管病変の発症抑制効果の検討 高血圧症においてはヒトでもSHRでも,賢臓の動脈の形態変化が起こり、血管機能の障害により腎糸球体の機能が低下したり腎機能の損傷が起こる。SHR-odにおいて、AsA無添加飼料を4週間摂取した場合には高血圧には変化が観察されなかったが、腎臓細動脈の高血圧性病変(内膜肥厚、中膜肥厚、血管壊死)の発症が促進されていた。 今後、このメカニズムについて明らかにしていくべき課題と考えている。 (3)AsA合成不能脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP-od)の作出 SHR-odに脳卒中易発症性のSHRSP脳卒中発症遺伝子を導入することにより、脳卒中とSHR-odより重篤な高血圧を発症するSHRSP-odを作出することを試みた。SHR-od(雌)とSHRSP(雄)とを交配して得られた子孫(雌)をSHRSP(雄)に戻し交配した世代の中で、od遺伝子に関してod/+(+は野生型)の雌を選抜した。od/+と+/+の判別は、ラットの尾より得たgenomic DNAを鋳型にしたPCRによって行った。そして、このod/+個体をSHRSP(雄)に戻し交配を、8回繰り返してcongenic系統の作成を完了した。現在、このヘテロ(od/+)個体同士を交配して、AsA合成不能ラットを作成している。すなわち、SHRSP-od作出の最終段階を行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Minakata,K.,Horio,F.(第三著者)その他: "Increase in production of ascorbate radical in tissues of rat treated with paraquat."Free Rad.Res.. 33. 179-185 (2000)