1999 Fiscal Year Annual Research Report
加熱食品中の発ガン物質による肝細胞へのアポトーシス誘導機構の解明
Project/Area Number |
11660126
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦田 均 神戸大学, 農学部, 助教授 (90201889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 雅史 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (00212233)
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Keywords | アポトーシス / 化学発ガン / ヘテロサイクリックアミン / Trp-P-1 / 肝臓 / ラット |
Research Abstract |
本研究は、加熱食品に含まれるトリプトファン由来の発ガン物質Trp-P-1が、ラット肝細胞に誘導するアポトーシス発現機構を解明し、それを発ガン性との関係を明らかにすることを目的としている。平成11年度は以下に示す成果を得た。 1.Trp-P-1が誘導するアポトーシスにおける薬物代謝系の関与を調べた。その結果、(1)ラットP4501A1を発現した酵母のミクロソームで代謝活性化させたTrp-P-1は、肝細胞にアポトーシスを誘導しなかった。(2)Trp-P-1は、予めメチルコランスレン投与で薬物代謝系を誘導したラットの肝細胞に対してアポトーシスを誘導しなかった。(3)さらに、インビトロ系でもメチルコランスレンによるアポトーシスの抑制を確認した。以上の結果から、Trp-P-1はアポトーシスを誘導する際に代謝活性化が不必要であり、むしろ活性化体はアポトーシス誘導能がないことを明らかにした。 2.次に、Trp-P-1によるアポトーシス誘導経路の解明を試みた。その結果、(1)このアポトーシス経路は、c-Mycとp53依存的であり、(2)ミトコンドリアからのcytochrome cの漏出によるcaspase-9の活性化と、その下流でcaspase-3と-7の活性化、(3)caspaseの細胞内基質であるpoly(ADP-ribose)polymeraseの開裂、(4)DNAを切断するNuc-18様endonucleaseの活性化、をたどることを明らかにした。 3.さらに、Trp-P-1によるアポトーシスの生体内での、また肝臓以外の細胞での検出も行った。 以上の研究成果は、2nd International Conference on Food Factors(1999年12月)にて発表(4題)し、日本農芸化学会2000年大会(2000年4月)にて発表予定(2題)である。さらに、上記1と2については現在投稿準備中である。
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