2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660137
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
林田 光祐 山形大学, 農学部, 助教授 (10208639)
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Keywords | タブノキ / 北限 / 個体群動態 / 発芽フェノロジー / 地理的変異 |
Research Abstract |
1、北限域でのタブノキの個体群動態 調査地である山形県遊佐町女鹿にあるタブノキ林では、2000年は4年ぶりのタブノキ結実の豊作年になった。そこで、タブノキ林内と林縁部に3か所ずつ1m^2の調査区を設定して、種子の散布から発芽までの過程を追跡することにした。 2000年の結実量は豊作年で、タブノキ林内では300個/m^2以上の種子が落下していた。落下していた種子が果実のまま自然落下したのかヒヨドリなどの鳥に食べられて散布されたのかを推定するために、落下していた種子の表面に果肉がどのくらいついていたかを調べた。その結果、タブノキ林内では60%以上が果実のまま落下していて、果肉がまったくついていない種子は20%以下であった。それに対し、林縁部では50%以上が果肉がまったくついておらず、鳥によって散布された種子が多かった。また、2000年の冬までに発芽した種子は、林内ではほとんどなかったのに対し、林縁部では約5%が発芽した。 2、タブノキの発芽時期の地理的変異に関する播種実験 山形大学農学部附属演習林の実験苗畑において各地の個体群から採取してきた種子を播種して、その後の発芽と実生の成長を追跡中である。 南方の産地のタブノキ稚樹は、冬から春にかけての枯損が多く発生し、北限産のタブノキよりも死亡率が高かった。また、成長も北限産のタブノキの方が南方産のタブノキよりも大きかった。このように北限産のタブノキは北限域の寒さに対する適応的な性質をもっていると推察される。
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Research Products
(2 results)