2000 Fiscal Year Annual Research Report
都市近郊二次林における伐採等の人為撹乱による生物相及び森林環境への影響評価
Project/Area Number |
11660149
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 昌三 京都大学, 農学研究科, 助教授 (50211959)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 麻美 京都大学, 農学研究科, 助手 (60273497)
大澤 直哉 京都大学, 農学研究科, 講師 (10221821)
|
Keywords | 都市近郊二次林 / 人為撹乱 / 森林環境 / 植生 / 地上徘徊性動物 / 影響評価 / 小流域 / 放置 |
Research Abstract |
本研究は、荒廃しつつある二次林に対してかつてのような森林管理を行った場合の森林の変化を追跡し、その結果森林がどのような生態的特性を示し、小流域最上流部としてどのような水を下流へ流すのか、を知ることを目的として行っている。2年目にあたる本年度は、前年度1月に除伐を行った3ヶ所の調査区を中心に調査を行った。調査は伐採地とその周辺を対象として行い、伐採後の実生更新動態、切り株からの萌芽更新、伐採地とその周辺における微気象環境の変化、流出水の水質の変化および表層土の移動、地上徘徊性動物相の変化、鳥類による種子散布の変化などである。伐採によって実生による天然更新が期待されたが、伐採地において出現した種は大半がヒノキであった。しかしその動態はダイナミックで、半数以上が1年の間に枯死した。一方、もう一つの優占針葉樹種であるアカマツは、伐採による光環境の好転や地表面の攪乱によって多くが発芽し、アカマツ林からヒノキ林に移行しつつある本森林も管理を加えることによってアカマツ林への転換の可能性が残されていることが示された。このほか、既存植生に含まれる広葉樹種も数種が認められたが、その数はわずかであった。しかし、流域下部の調査区では多くの広葉樹種が伐り残されたことから、広葉樹の割合が高かった。立地によっては落葉広葉樹林への転換も可能であることがわかりつつある。外部からの新たな樹種の侵入はほとんど認められなかった。一方、土壌中の埋土種子からの発芽はほとんど認められなかった。これは放置期間があまりにも長すぎたためであると考えられる。樹種によっては萌芽による更新にも充分に期待できることも示された。地上徘徊性動物は、京都北部冷温帯天然林の要素が強い種が多く生息していることが確認された。伐採区と非伐採区の間でオサムシとゴミムシの種数の明瞭な違いはないが、個体数では伐採区で多い傾向が認められている。
|
-
[Publications] 柴田泰征,柳本順,平井岳志,佐々木理也子,柴田昌三: "ヒノキ天然林における測定結果からみた名樹高測定機器の精度・正確度および作業能率について-樹高測定機器の有用性の検討-"京都大学農学部附属演習林試験研究年度報(2000年度). 49-56 (2001)