2000 Fiscal Year Annual Research Report
樹木の耐塩性に及ぼす根系のバイパスフローに関する研究
Project/Area Number |
11660153
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
矢幡 久 九州大学, 熱帯農学研究センター, 教授 (90038290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城田 徹央 九州大学, 熱帯農学研究センター, 非常勤研究員
小林 善親 九州大学, 農学研究院, 教授 (90087594)
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Keywords | 耐塩性 / バイパスフロー / 樹木 / 蛍光物質ピラニン / カスパリー帯 / クロロフィル蛍光 / 電子スピン共鳴 / フリーラジカル |
Research Abstract |
根においてアポプラスト経由で侵入したイオンは内皮や下表皮の細胞壁にある疎水性のカスパリー帯に阻止されるが、これが欠如すればバイパスフローの原因になり有害イオンが吸収され、耐塩性が低下すると推測される。この仮説を検証する目的で塩感受性のキンモクセイと強耐塩性のマサキの挿木苗を用い、バイパスフロー量を調べた。 1)樹木の苗木は、文献の草本性作物と比べてバイパスフロー量がかなり大きかった。またキンモクセイはマサキよりバイパスフロー量が大きかった。バイパスフローが大きければ受動的に吸収される水とともにNaイオンの吸収量も大きくなると推測されたが、現実のNaイオンの吸収量はこの予測値より少なかった。このために、根は吸収したNaイオンを積極的に排出している可能性が示唆された。また、バイパスフロー量は側根の発達程度が異なる季節によって変動する可能性も指摘された。 2)蛍光顕微鏡による根の観察から、木本植物においても内皮やコルク形成層の発達によるバイパスの修復が行われていること、キンモクセイの根にもマサキと同様に根にカスパリー帯をもつ下表皮(エキソダーミス)が存在すること、根の腐朽部が大きなバイパスフロー量の原因になっていると推測された。 3)冬季の温室で1ヶ月間、塩処理と乾燥処理をそれぞれ遮光と補光の二つの光環境条件で行った結果、葉の最大の光量子収率(Fv/Fm)は、キンモクセイでは乾燥処理の低下より、塩処理で大きく低下し、塩感受性であった。マサキは塩処理の影響が小さく、強耐塩性を裏付けたが、乾燥処理に弱かった。塩及び乾燥のストレスによる影響は、補光条件で大きく光阻害が認められた。ESRで求めた葉内のフリーラジカルは顕著な処理間差は認められなかったが、キンモクセイの遮光・塩処理区では増大した。これはストレスによって葉内で増大した活性酸素の影響によってフリーラジカル量が増大したと推察した。
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Research Products
(1 results)