2001 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄産マングローブ樹種の種子散布動態と個体群動態に関する研究
Project/Area Number |
11660156
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
馬場 繁幸 琉球大学, 農学部, 助教授 (30117585)
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Keywords | DNAマーカー / マイクロサテライト / マングローブ / ヒルギダマシ / ヤエヤマヒルギ / 個体群 / 沖縄 / SSR |
Research Abstract |
マングローブは通常の陸上植物の種子散布とは異なり、潮汐あるいは海流によって種子が散布されるものが多い。このような種子散布様式をもっマングローブの個体群(集団)の遺伝的構成と、その動態を明らかにすることが本研究の目的である。 本研究は平成11年度にはじまり、当該年度はその最終年度であった。用いられたDNAマーカーはマイクロサテライト(microsatellites)あるいはSSRs(Simple Sequence Repeats)と呼ばれるマーカーであり、前年までは主にオヒルギ、ヤエヤマヒルキが供試され、DNA抽出はCTAB法とIce-cold buffer法であった。本年度の主な供試樹種はヒルギダマシであり、DNA抽出は改変CTAB法で、DNAの精製精度を上げるためにDNA抽出キットも併用した。 ヤエヤマヒルギについては、昨年度までに設計された24対のプライマーの中から8対のプライマーを用いて解析が行われたが、沖縄のヤエヤマヒルギ集団の変異は極めて小さかった。ヒルギダマシについては7対のプライマーが用いられ、7集団について遺伝解析が行われた。その結果、ヒルギダマシでは集団間のヘテロ接合度が小さく、集団内の遺伝変異も小さいが、個々の集団の遺伝的分化が大きいことが明らかにされた。 マイクロサテライトはDNAマーカーとして極めて有用なマーカーであるが、樹種によっては遺伝変異が小さく、マイクロサテライトであっても変異を捉えることが難しかった。これまでに報告されたことのない本研究の成果としての新しい知見として、ヒルギダマシはヘテロ接合割合が小さく、高い割合で自家受粉することで集団を維持する適応戦略をもっていること、個々の集団が小さくて隔離されていることから、集団の遺伝的分化が大きく、種子の移動による遺伝子流動は小さいことが明らかにされた。
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