2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660158
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Research Institution | RAKUNO GAKUE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小澤 修二 酪農学園大学, 酪農学部, 助教授 (50204194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹澤 大輔 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (20281834)
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Keywords | リグナン / 生合成 / 亜麻 / LECラット / 肝炎抑制作用 |
Research Abstract |
リグナンは、高等植物に広く分布する一群のフェニルプロパノイド誘導体であり、二量体レベルでは数千種に及ぶ構造が既に知られている。近年、リグナンの生合成経路や酵素系に関する基礎的知見はしだいに蓄積され、リグナン生合成における立体化学的制御機構は、植物によってかなり多様であることが指摘されている。本研究は、リグナン生合成反応の立体化学的機構の実体について精査するとともに、リグナン含有植物の新規用途開発の一助とするために行うものである。 平成13年度は、亜麻に含有するリグナンに着目して検討を行った。まず、酵素反応の基質や標品として必要なラセミ体リグナン類を合成した。次に亜麻の各種抽出物およびそれらの酵素加水分解物やケン化物のHPLC分析を行った結果、主要なリグナンとしてセコイソラリシレジノールジグルコシド、セコイソラリシレジノール、ピノレジノールなどを確認した。また、種子中ではこれらのリグナンは、主にアシル化されたポリマーの形態で存在していることが示唆された。さらにリグナンのエナンチオマー組成の分析で、亜麻種子中に光学的に純粋な(+)-pinoresinolの存在が明らかとなり、少なくとも亜麻種子のリグナン生合成では、初発段階でその生合成が立体化学的に厳密に制御されていることが示唆された。また、肝炎のモデル動物として知られているLECラットを用い、リグナンの抗炎症作用による放射線及び活性酸素誘導細胞障害の抑制効果を検討した。その結果、亜麻リグナンが四塩化炭素による細胞内での酸化作用及び肝細胞死に対して抑制効果を示すことを明らかにし、亜麻リグナンがLECラットの自然発生肝炎を遅延させる可能性が示唆された。
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