2000 Fiscal Year Annual Research Report
2次イオン顕微質量分析法によるリグニン高次構造の可視化
Project/Area Number |
11660163
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福島 和彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (80222256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 貴規 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (20252281)
安田 征市 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80002070)
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Keywords | 2次イオン質量分析 / TOF-SIMS / リグニン / 細胞壁 / 樹木 / シリンギル / グアイアシル / 顕微 |
Research Abstract |
飛行時間型2次イオン質量分析(TOF-SIMS)を樹木細胞壁の構造解析に応用し、リグニンを非破壊的に細胞レベルで分析する手法の開発を目指した。SIMS法とは、一次イオンであるガリウムイオンを試料表面に照射し、放出される2次イオン(全質量可能)をTOFマスにより分析する方法で、2次イオンの試料中の分布をマッピングできる特徴を有しており、細胞レベルでの化学情報を直接得ることができる。解像度はサブミクロンレベルで顕微FTIRなどの他の分光計に比べて格段に高い。本研究では、以下の項目に焦点を絞って解析した。 a)リグニン由来の2次イオンの検索 リグニンモデル化合物であるDHP(コニフェリルアルコール脱水素重合物)、および樹木MWL(摩砕リグニン)を用いて2次イオンスペクトルの解析を行った。その結果、グアイアシル、シリンギル骨格由来の2次イオンピークが明瞭に観察された。 b)リグニン由来の2次イオンの確認 a)において検出された2次イオンがリグニン由来であるかどうかを、安定同位体で標識したDHPを用いて解析した。その結果、グアイアシルリグニン由来の2次イオンを質量分析法により2種特定することに成功した。 c)セルロース由来の2次イオン 細胞壁の主要な構成成分であるセルロースの2次イオンスペクトルを測定した。その結果、リグニンの2次イオンスペクトルとは、重なり合わないことが確認され、細胞壁のようなリグニン・セルロース複合体においても、本測定法によりリグニンのみの化学構造に関する情報を選択的に抽出できることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 福島和彦: "新しいリグニン生合成経路"Cellulose Commun.. 7・1. 23-26 (2000)
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[Publications] N.Matsui et al.: "Conversion of syringyl to guaiacyl moieties on the cinnamyl alcohol pathway during the biosynthesis of lignin in angiosperms"Planta. 210・5. 831-835 (2000)
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[Publications] 福島和彦: "リグニンの生合成と構造"APAST-森と木の先端技術情報-. 37. 10-15 (2001)
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[Publications] N.Terashima and K.Fukushiam: "GINKGO BILOBA, Medicinal and Aromatic Plants-Industrial Profiles, Teris A.van Beek編著"harwood academic publishers. 548 (2000)
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[Publications] B.Monties and K.Fukushima: "Occurrence, function and biosynthesis of lignin, In : Biopolymers, Vol.1. "Lignin, humic substances and coal"Ed.A.Steinbuchel"Wiley-VCH Verlag (印刷中). (2001)