1999 Fiscal Year Annual Research Report
住宅の床下環境とシロアリの食害生態に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11660165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 剛 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (40230809)
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Keywords | シロアリ / 床下環境 / 湿度 / 食害活動 / 蟻道構築 |
Research Abstract |
研究初年度の本年は、まず住宅の床下環境に関する基礎データの収集、特に湿度環境について調査を行った。その結果、通常の住宅では外気の相対湿度が年間を通じて45〜75%であるのに対して、床下の相対湿度は65〜95%と20%ほど高いことがわかった。この調査結果から、今年度はまず温度を28℃に固定し、相対湿度60.0、72.5および85.0%の3条件を設定して、購入した恒温恒湿室を用いて下記の2つの実験を行った。 1.木材摂食試験:室内飼育中のイエシロアリを用い、上述の条件で3週間アカマツ辺材木片を強制的に摂食させ、その質量減少量から木材摂食能力を推定した。 2.蟻道構築試験:同じくイエシロアリを用い、上述の条件で土壌および餌木を入れた容器内で3週間飼育し、蟻道の構築速度を算出した。 試験の結果、相対湿度60%の場合、木材摂食試験に供したシロアリのほとんどが死亡し、また木材試験片の質量減少量も他の2条件と比較して4分の1以下となった。さらに蟻道構築速度も、相対湿度85.0%の場合と比較して約3分の1という低い値を示した。 以上のことより、相対湿度60.0%という条件が、イエシロアリの食害活動に関して非常に過酷な条件であることが明らかとなった。現在、食害活動を非破壊的に探知することのできるAE(アコースティック・エミッション)装置を用い、連続的な湿度変化と食害活動との関係について検討を進めている。
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