1999 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースおよびデンプンからの新しい機能性誘導体の調製
Project/Area Number |
11660169
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石津 敦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40014922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯貝 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40191879)
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Keywords | セルロース / メチルセルロース / 酢酸セルロース / ヒドロキシエチル化 / ヒドロキシプロピル化 / デンプン / カルボキシメチル化 / ゲル化剤 |
Research Abstract |
末端にカルボキシル基がついた長鎖の分子を枝として持つセルロースあるいはデンプンの誘導体は,未だに調製例がない。このような誘導体を調製する方法の一つとして,メチルスルフィニルアニオンの存在下,メチルセルロースに対してエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシドのアニオン重合を行い,その生成物のカルボキシル化によって初期の目的物を得た。メチルセルロースを用いたのは,グラフト枝のつく場所を限定してその重合度を高めようとしたことと,幹になるセルロース部分の親水性を減少させようとしたことによる。狙いは,マグネシウムやカルシウムイオンの添加によりキレートを形成させることを通じて,ゲルを造らせることにあった。しかし,この狙いは実現できなかった。その原因として,アニオン重合の過程で起こる顕著な解重合が考えられる。その抑制が課題である。 前項と同じ種類の誘導体の調製に関して新しい発想を得たので,当初の計画とは異なり,この着想を優先的にセルロースについて検討した。すなわち,メチルセルロースをオレイル化し,その生成物に含まれる二重結合を過マンガン酸カリウムと過ヨウ素酸ナトリウムの混合液で選択的に酸化開裂させることにより,カルボキシル基を導入しようとした。この着想の問題点は,酸化剤による分解を押さえられる程度に水酸基を保護し,その結果として試料が疎水化する一方で,疎水性の溶媒には溶けない酸化剤を使用する点にある。現在得ている生成物は,カルボキシル基を含んでいるものの水には溶けない。したがって,アミノ化合物と組み合わせて油の固化に使えないかと検討中である。
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