2000 Fiscal Year Annual Research Report
アラスカ湾におけるサケ属魚類の分布特性に関する研究
Project/Area Number |
11660174
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 省吾 北海道大学, 水産学部, 講師 (60179421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帰山 雅秀 北海道東海大学, 工学部, 教授 (80305937)
磯田 豊 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (10193393)
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Keywords | Oncorynchus / Gnnatidae / Galf of Alaska / Ridge Domain |
Research Abstract |
平成12年度(2000年)の調査から,アラスカ湾内西経145度線上に存在する水温ドーム構造の南方への広がりは,平年並みの北緯52度分付近まで確認された.表面水温は平年並みであった.近年の観測では1999年の水温ドーム構造が,例年に比べ南偏(北緯51度30分付近)していたと推察される.サケ属魚類の単位努力量あたりの漁獲尾数は,平年と同様に北緯54-55度の水温ドーム構造のピーク付近で高い値を示した.魚種組成はべニザケの比率が高く,これはエルニーニョの現象が確認された1997年にも確認されている.また,その胃内容物からは小型のシロザケを除き,小型イカ類(主にヒメドスイカ)を選択的に索餌していた.しかしながら,餌として利用されたいるヒメドスイカの成体を調査するための曳網調査では,全く小型イカ類を採集できなかった.過去の水産庁の調査によると.中層トロール調査によってヒメドスイカが大量に採集された報告があり,サケ属魚類に索餌されているにも関わらず採集できない理由については不明である.小型のプランクトンネットの曳網調査により10mm以下の幼体は採集されており,体サイズと分布についての関係を調査する必要がある.近年のサケ属魚類の分布については,1999年,水温ドーム構造が南偏した年に,分布の高密度域が水温ドーム構造の南端付近に確認されており,さらにはこの年のサケ属魚類の胃内容物に,小型イカ類の出現率が低下した事もふまえると,水温ドーム構造の地理的位置の変動が,アラスカ湾内のサケ属魚類の分布に影響を与えていると推察でき,2000年にはアラスカ湾を東西に横切る海洋観測を行っており,今後はこれらのデータの解析を進め,水温ドーム構造の存在をさらに立体的に明らかにし,サケ属魚類,小型イカ類の分布との関係を検討したい.
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Research Products
(1 results)