1999 Fiscal Year Annual Research Report
海藻類における赤腐れ病菌に対する抵抗性因子に関する研究
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11660191
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 雄二 長崎大学, 水産学部, 教授 (80039726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 和可 長崎大学, 水産学部, 助教授 (60301363)
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Keywords | 海藻 / 紅藻 / アマノリ属 / 赤腐れ病菌 / 病原菌抵抗性因子 / ポルフィラン / モノクロナール抗体 |
Research Abstract |
赤腐れ病原菌の遊走子及びそのシストを抗原として作製したモノクロナール抗体を用いる間接蛍光標識法によって、病原菌遊走子が宿主ノリ葉体に付着してから葉体に侵入するまでの過程を観察した。その結果、ノリ葉体表面において遊走子のシスト化-発芽-付着器形成の関係が成立した後、病原菌は葉体組織内に侵入・感染することが明らかになった。また、葉体上で遊走子がシスト化した細胞は、関接蛍光標識法とは別に、カリコフラ-蛍光染色法による識別も可能であり、これらの染色法は感染初期の判定に非常に有効であるこが確認された。多くの種類の海藻への感染試験を行った結果、本病原菌は、供試した紅藻16種類に感染するが、病斑の形成はウシケノリ目のみに限られること、さらに供試した紅藻1種類、褐藻3種類、緑藻6種類では遊走子のシスト化が起きないことが確認された。また、アマノリ属のうち感受性が低いカイガラアマノリでは感受性が高いスサビノリと比べ、葉体表面における遊走子のシスト化及び付着器形成の頻度が非常に低いことが確認された。遊走子懸濁液への種々の単糖、多糖、アミノ酸などを添加した結果、海藻ガラクタン(ポルフィラン、寒天など)は病原菌遊走子のシスト化及び付着器形成を促進させることが明らかになった。一方、ポルフィランのフィルム上での遊走子のシスト化及び付着器形成を比較した結果、カイガラアマノリのポルフィランはスサビノリのポルフィランに比べ、遊走子のシスト化及び付着器形成数がかなり少なく、これらの結果はそれぞれの葉体への感染試験の結果と相応することが確認された。これら両種からのポルフィランはアガロースとアガロース前駆体の含有比、アガロース前駆体中のガラクトース環における硫酸基数において相違し、病原菌遊走子のシスト化及び付着器形成にはポルフィランの構造が密接に関連することが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Srinivasa Rao Uppalapati: "Carbohydrate regulation of attachment,eucystment and appressorium formation by pythium porphyral zoospore on Porphyra yezoeusio"Jornal of Phycology. 36・2. (2000)
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[Publications] Srinivasa Rao Uppalapati: "海苔生物学"能登谷正浩. 170 (2000)