1999 Fiscal Year Annual Research Report
慢性的および急性的ストレスが人工種苗ヒラメ稚魚の成長・生残に与える影響
Project/Area Number |
11660195
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
富永 修 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (90264689)
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Keywords | ヒラメ人工種苗 / ストレッサー / ストレス応答 / コルチゾル / 血漿中グルコース / 間腎腺細胞 / 白血球 / ACTH |
Research Abstract |
種苗生産時の高密度飼育や放流はヒラメ稚魚にとって大きなストレッサーとなっている。このようなストレスがヒラメ稚魚の生残や成長にどの様な影響を与えるかを検討することが本研究の目的である。本年度は高密度飼育による長期的なストレスの影響と急性的ストレスを継続的に与えた時のストレス応答の変化を検討した。着底直後から3カ月、飼育密度と底質を変えて飼育したヒラメ当歳魚の血漿中コルチゾル濃度は飼育環境により変化しなかったが、白血球数の減少と間腎腺細胞の核の肥大が高密度飼育した群で観察された。2次的なストレス応答がコルチゾル濃度と対応していないことから、長期的なストレスによりコルチゾルの代謝率が増大している可能性がある。また、長期的なストレスを加えたヒラメ当歳魚に空中乾出により急性的なストレスを与えたところ、高密度飼育した群と底砂を敷いた環境で飼育した群では血漿中コルチゾル濃度およびグルコース濃度の明瞭なストレス応答みられずストレスへの感受性が鈍化していた。これはACTHレセプターの脱感作や間腎腺組織でのコルチゾル産生能力の低下と関連している可能性がある。 継続的に急性ストレスを与えたヒラメ稚魚(48.7mmTL)の体中コルチゾル濃度は1、2および4日目でそれぞれ14.0、4.1および1.8ng/mgと低下する傾向が見られた。一方、0歳魚(1753mmTL)の刺激1時間後の血漿中コルチゾル濃度は、統計的に有意差が認められなかったものの、1、2および5日目の平均コルチゾル濃度(11.2,8.2,11.0ng/ml)は明らかに無刺激群(1.2、4.1、2.4ng/ml)よりも高かった。血糖値の時間変化は1日目の刺激群が有意に高く明瞭なストレス応答を示したが、その後は刺激1時間後にわずかに高くなる傾向が認められたものの有意差はみられなかった。このようにサイズによりストレス耐性が異なっていた。
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