2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性的および急性的ストレスが人工種苗ヒラメ稚魚の成長・生残に与える影響
Project/Area Number |
11660195
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Research Institution | FUKUI PREFECTURAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
富永 修 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (90264689)
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Keywords | ヒラメ人工種苗 / 輸送ストレス / ストレス応答 / コルチゾル / メラニン量 / ACTH産生細胞 / ACTH免疫染色 / マクロファージ |
Research Abstract |
本年度は稚魚の輸送ストレスと生残の関係を検討するために,稚魚をトラックで輸送し,天然海域に設置したかご網の中で3週間飼育した.実験は6月と7月の2回行い,期間中は投餌しなかった【実験1】.また,高密度度飼育群(46個体(170mmTL)/30l)と低密度飼育群(4個体(170mmTL)/30l)を30日間飼育し,メラニン量の変化を検討した【実験2】.さらに長期(12週間)のストレスに対するACTH産生細胞の活性を検討するために,Robert Dores教授(デンパー大学)から供与されたACTH抗体を用いて,ACTH産生細胞の核面積の変化を調べた【実験3】.【実験1:輸送ストレスと死亡率】輸送時に強い刺激を与えた稚魚は与えなかった稚魚よりも明瞭なストレス応答を示したが,生残との関連は認められなかった.しかし,予備実験では小型サイズで強い応答がみられ,死亡率も高かった.【実験2:メラニン量の変化】低密度区は30l水槽に移槽後わずかにメラニン量が増加した程度であったが、高密度区は同時に作ったコントロール区(最初の1日間は16個体,その後14日目まで10個体,その後30日目まで6個体)に比べてはるかにメラニン量が増加した.外見でも明らかに体色が黒く,これらがメラニン量の増加に起因していることが明らかになった.【実験3:ACTH産生能力の変化】提供された抗体で脳下垂体前葉主部の神経葉に沿って分布するACTH産生細胞を染色することができた.実験開始9週間目までACTH産生細胞の核面積は増加したが,底砂のある試験区と底砂のない試験区の間で差が認められなかった.しかし,12週目には底砂のない区で有意に大きくなった.底砂のあるなしストレッサーとして働くことが予想された.頭腎中のマクロファージを短期培養し,食欲活性の測定を試みたが,貧食の判別が難しく,分析にはさらに検討が必要である.
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