Research Abstract |
1.ミネラルによるヒト赤血球変形能低下防止効果 乾式灰化したヒトエグサの灰分の酢酸塩をICAP分析に付したところ,酢酸塩1g当たり,Li31μg,Na12528μg,Mg8224μg,Al1817μg,Ca16709μg,V7.6μg,Cr9.5μg,Mn114μg,Fe415μg,Co6.2μg,Ni8.0μg,Cu5.9μg,Zn57.0μg,As37.0μg,Se14.4μg,536μg,Mo3.8μgであった。この酢酸塩を用いてヒト赤血球変形能の低下防止効果を測定したところ,採血4時間後には危険率1%以下で,5時間後には危険率5%以下で,6時間後には危険率0.5%以下で,ヒトエグサミネラルの添加が有意に変形能の低下を防止した。マウスの餌にこの酢酸塩を混ぜ,20日間の投与試験をしたところ,対照に対してAPTT(活性部分トロンボプラステン時間)は危険率5%で有意に遅くなったが,PT(プトトロンビン時間)には差が認められなかった。すなわち,ヒトエグサミネラルは血液の内因性凝固因子の活性を抑える働きがあること,赤血球変形能の低下防止効果が有ることが判明した。 2.血液循環障害防止効果を有する海藻食品の試作 血小板凝集抑制効果のあるD-システノール酸を含むヒトエグサを用いて佃煮を試作し,嗜好性やD-システノール酸の残存率を調査した。その結果,常法によって作製した佃煮は嗜好性は優れていたが,D-システノール酸の残存率は0%であった。この解決のために,別途抽出して結晶化したD-システノール酸を最終工程の佃煮に添加して加熱殺菌したところ,D-システノール酸の残存率が77%の佃煮を作ることができた。
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