2001 Fiscal Year Annual Research Report
麻ひ性貝毒原因渦鞭毛藻が分泌する魚介類斃死活性タンパクに関する研究
Project/Area Number |
11660209
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 教授 (00104521)
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Keywords | 赤潮 / 魚介類斃死 / 麻ひ性貝毒 / 溶血性物質 / 細胞毒性 / 脂肪酸 |
Research Abstract |
昨年度までPSP原因渦鞭毛藻Alexandrium minutumによる甲殻類斃死に関わる物質を追究してきた。その結果、斃死には細胞毒性や神経毒性を示す様々な物質が関わることが明らかになってきた。また、この過程でPSPそのものも斃死に関与する可能性も示唆された`本年度はまずこの点についてA. catenellaが1984年宮崎県北浦湾において赤潮を形成し、養殖ハマチの大量斃死を引き起こした事例に着目し、本種の赤潮形成とPSP毒性との関わりを調べた。その結果、本種は低温条件下で生長速度が低い場合、高いPSP生産能を示すものの、高温下で赤潮形成するほどの高い生長速度を維持する場合、無毒に近くなることを見出した。従って、Alexandriumが赤潮状態になった場合の魚介類斃死にはPSPの関与は極めて低いと判断できた。次に、本種について斃死原因物質の探索を行った。その結果、低分子成分では低極性を示す画分と比較的高極性を示す画分にアルテミア致死活性を有する物質の存在を認めた。さらに、低極性物質はガスクロマトグラフィーによりC18:5などの高度不飽和脂肪酸であり、高極性の物質はグリコリピドであることが推定された。これらの成分は溶血活性を同時に有することから斃死は鰓細胞の破壊など細胞毒性による作用が関与するものと考えられた。一方、細胞外に分泌される高分子画分についてアルテミア致死活性を調べたところこれを認めたので、細胞抽出物を用いてタンパクを分画、活性成分を追跡し、分子量約25Kdaのタンパクに活性を認めることが出来た。本成分は溶血活性を有しておらず、また本成分によるアルテミアの斃死は著しく急性であった。このことから、本成分は神経性の毒性を有するものと考えた。以上、本年度はA. catenellaにおける甲殻類斃死物質についてほぼその全容を明らかにすることが出来た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katsushi Sekiguchi: "Accumulation of paralytic shellfish toxins in the scallop Patinopecten yessoensis caused by the dinoflagellate Alexandrium catenella (以下略)"Fisheries Sciences. 67. 1157-1162 (2001)
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[Publications] 緒方武比古: "麻ひ性貝毒原因渦鞭毛藻の毒生産生理"月刊海洋. 33・10. 700-704 (2001)