2001 Fiscal Year Annual Research Report
耕作放棄地の畜産的利用と絶対地代の形成に関する実証的研究
Project/Area Number |
11660215
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小栗 克之 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (20233497)
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Keywords | 絶対地代 / 所有地代 / 土地所有の独占 |
Research Abstract |
本年度は、絶対地代形成に関する理論的研究を行った。すなわち、現在、通説となっているマルクスの絶対地代論の中に問題が残されているため、その検討を行い、新しい絶対地代論の構築(所有地代の形成)を行った。その結果は、以下の3点に要約される。 第1点は、従来の(マルクスの)絶対地代論の欠陥を明らかにした。すなわち、その欠陥とは、絶対地代の概念の中に「農産物の生産価格を超える価値との差額」ということを取り入れたことである。それは「農業資本の有機的構成の低位性」という条件から導き出されている。しかし、「農業資本の回転期間の長期性」という条件を考慮に入れるとき、「農産物の生産価格を超える価値との差額」は必ずしも存在するとはいえない。したがって、従来の絶対地代の概念の中からその点を除去すると、ただ、「土地所有の独占が産む地代」ということのみが残る。それは「新しい絶対地代」である。 第2点は、新しい絶対地代を「所有地代」と呼び、その地代範疇を確立した。すなわち、所有地代とは「土地所有の独占が産む地代」であり、その成立条件はただ「土地所有の独占」のみである。その地代の量的規定は「(調整的)市場価格-生産価格」である。 第3点は、所有地代の価値実現過程について明らかにした。農産物の価値の範囲内で所有地代が実現される場合には、とくに問題はない。問題は農産物の価値を超えて実現される場合である。その場合、総資本の平均利潤部分を低めることによって、社会全体(全産業部門)の剰余価値の一部分が、所有地代として農業部門へもたらされることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)