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2001 Fiscal Year Annual Research Report

総力戦体制下の農業生産・農業経営-とくに農事実行組合の機能に着目して-

Research Project

Project/Area Number 11660219
Research InstitutionKYOTO UNIVERSITY

Principal Investigator

野田 公夫  京都大学, 農学研究科, 教授 (30156202)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 足立 芳弘  京都大学, 農学研究科, 助教授 (40283650)
Keywords総力戦体制 / 農事実行組合 / 農業団体法 / 農業会 / 皇国農村確立運動 / 食糧増産政策 / 標準農村
Research Abstract

本年度は、『帝国農会報』『農業研修』『戦時農業資料集成』の三つの資料から作成した課題別抜書き資料を中心に分析を加えた。得られた知見は以下のようなものである。
1)前時代の小組合には共同の合理性がみられるが、戦時体制期の実行組合は労力不足と統制上の必要に支えられたもので、前向きの合理性は欠いていた。共同による一定の生産力増強はあったものの程度は限られ、しばしば中心的な生産力担当者(篤農家)に自己犠牲を強い、参加農家に全般的な労働強化と労働力疲弊をもたらした。このジレンマを解決するためには機械力の助けが必要であったが、軍事産業への極端なシフトのなかで、農業と農村を「裸の労働力」の摩滅・疲弊に追いやった。
2)自発性の余地を残していた前時代とは異なり、統制の基礎単位としての性格を強め、国民的団結の基本単位、諸問題の調整母体として位置付けられた。他方集落は時給経済の基礎単位とされ、労働力不足もまずは集落内で調達努力をすることが基本とされた。しかし、事態は集落の解決能力をはるかに超えており、戦時末期には、町村のレベルすら超えるような頻繁な調整が必要となった。この点で集落の機能は、すでに限定的であった。
3)このような過程は、近世以来の土地と農民とのリジッドな対応(緊縛)関係を揺さぶった。生産諸要素の深刻な不足の下で進行せざるをえなかった大胆な再結合の試みは、これまでの化石化した慣習を大幅に相対化する「強いられた条件下での合理化」の試みでもあった。戦争という大きな不幸の下での暗中模索ではあったが、この後の時代に振り返るべき遺産として自覚されるべきであった。

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Published: 2003-04-03   Modified: 2016-04-21  

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