前面コア型フィルダムのコア部に亀裂が生じた場合の対策工法に関する研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11660236
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 角野 三好 弘前大学, 農学生命科学部, 講師 (80003523)
• Keywords: 前面コア / フィルダム / 亀裂 / FEM解析 / 浸潤面 / 対策工法 / 老朽化溜池堤体 / 堤体補修

Research Abstract

今年度の研究では、前面コア型フィルダムのコア部に老朽化や地震などにより生じた局所的な亀裂が、ダム内部の浸透流に生ずる影響について三次元FEM浸透流解析により検討した。コア部の局所亀裂は前年度の二次元解析で得られた結果と同様に、亀裂個所を中心に浸潤線を上昇させる領域が存在するものの、亀裂個所から遠ざかると浸透流は亀裂の無い流れを保持することが分かった。この亀裂による影響の範囲は亀裂の生ずる位置と深さが関係することが分かった。この影響範囲が大きいのは亀裂がダム貯水面近傍に生じた場合である。この結果は二次元解析からも推察された結果である。また全面コア部の局所亀裂によりコアが持つ遮水効果が全て失われる最大亀裂は、亀裂が貯水面近傍に生じ、しかもこの亀裂が奥行き方向長さの少なくとも1/2以上に渡り生じた場合であることが分かった。このような亀裂発生は強度の地震などに起因する以外は起こりにくい事象である。
また、前刃金(前面コア)の欠損が生じている老朽化溜池堤体下流側の浸潤面について補修工事後の浸透流について解析を行った。解析では、堤体と局所補修個所における土の透水係数比を変えながら堤体浸透流に及ぼす影響について考察した。この結果、前面コア部の欠損と局所的な補修工事による土の透水係数の変化が相乗して堤体浸流に及ぼす影響を三次元的に明らかにした。次年度はコア部に生ずる局所的な亀裂による悪影響から堤体の安全を確保するための工法についてさらに検討する予定である。