2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平松 研 京都大学, 農学研究科, 講師 (90271014)
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Keywords | 生態系モデル / 水質 / バイオマニピュレーション |
Research Abstract |
近年,農用地からの排水が流出先の湖沼や河川の水質汚染源になっているとの批判がある.主に肥料に含まれる窒素やリンなどの栄養塩がその汚染の主成分であるため,富栄養やプランクトンの増殖に寄与していることは明らかであるが,その面源的な性質ゆえに一律に規制していくことは困難である.これらに対して,栄養塩あるいは浮遊物質を含む農用地からの排水を一時的に溜池に貯留,あるいは貯留したものを灌漑用水として再利用することにより,物理的,あるいは生化学的に浄化を行う試みがある.ただ,これらの浄化のメカニズムや浄化能力は定性的には理解が進んであるものの,定量的にはいまだ十分に把握されていないのが実情である.本研究では,現地における調査およびモデル化を進めることにより,溜池の浄化能力を定量的に評価する試みを実施しており,その能力を明らかにしつつある.また,溜池が置かれている状況とそれにより変化する浄化能力の関係についても調査を続けている.さらに,積極的に浄化能力を強化する手法として貝類などによるバイオマニピュレーションによる手法を提案するとともに,対象生物群の特性を調査している.貝類は植物プランクトンを直接捕食するため,理論的には栄養価を防止する上で非常に効率がよいが,水体全体をコントロールするコンパートメントとして成立させるためには量的な面を含め,依然問題も多い. これらの成果は溜池の生態系および水質のメカニズムを再現するための基礎データとして有用であり,溜池の価値評価に役立つものと期待できる.
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