1999 Fiscal Year Annual Research Report
既設干拓堤防の保全工における液状化対策工法に関する研究
Project/Area Number |
11660244
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉武 美孝 愛媛大学, 農学部, 教授 (20033326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 範之 愛媛大学, 農学部, 助手 (00314972)
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Keywords | 地震 / 液状化 / 干拓堤防 / 保全工 |
Research Abstract |
平成9年に鹿児島県北西部地震により出水干拓堤防が被害を受けているが,本年度は,この干拓堤防をケーススタディとして取り上げ,液状化挙動を検討した. 解析手法は,地震に伴って発生する過剰間隙水圧が地盤のせん断抵抗に与える影響を逐次考慮できる非線形動的有効応力解析手法を用いた.応力-ひずみ関係については,任意方向のせん断面において適用可能な双曲線モデル(多重せん断モデル)を基に,拡張Masing則による履歴ループを定義している.また,過剰間隙水圧に関しては,液状化フロントの概念を挿入し,塑性せん断仕事およびせん断応力の関数として与えるモデルを採用した. 解析は,被災状況を再現したケース,液状化対策を考慮したケースの2ケースを実施した.入力加速度は,道路橋示方書による1種地盤の地震波を被災地付近の岩盤上で観測された最大加速度102galに調整したものを用いた. 解析結果は被災状況と整合するものであり,構造物の変形や間隙水圧の発生状況を再現することができた.対策工施工前,施工後を比較すると,加速度の応答に関し大きな違いは見られなかったが,過剰間隙水圧比では対策工直近の位置で最大値が0.9以上から0.6以下に低下した.また,解析結果の差異は,初期せん断応力および土被り圧の違いに起因し,地震によるせん断応力の発生や有効応力低下の割合に影響を与えることがわかった. また,一般的な液状化判定法として,道路橋示方書による液状化判定およびSHAKEによる液状化判定を取り上げ,非線形動的有効応力解析結果との比較を行った.液状化対策前の結果はどの手法も同様の値を示したが,対策後の結果は地表面付近において大きな違いを示した.これより,一般的な液状化判定法にも初期せん断応力の影響を考慮する必要があることがわかった.
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