1999 Fiscal Year Annual Research Report
労働時における人体負荷の3次元解析と主観的労働強度の評価法に関する研究
Project/Area Number |
11660257
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
御手洗 正文 宮崎大学, 農学部, 教授 (60094083)
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Keywords | 人体負担 / 農作業法 / シミュレーション / 作業姿勢 |
Research Abstract |
本研究では、作業者の生体負担から見た農作業法の改善、機械の操作・操縦性の向上、作業に適した機械・機具等の合理的な形状などを追求する事を目的として、コンテナ積み荷作業をモデルとして取りあげ、作業姿勢の動的計測と人体各間接にかかるモーメント力、重心位置の変化等を解析するとともに、生体負担を最小限にするための作業方法をシミュレーションにより推定した。その結果以下の事が明らかになった。 (1)コンテナ積み荷作業における荷物と全重心の軌跡は、コンテナ形状と積み上げ高さが一定であれば荷物重量による差が明確に現れず、ほぼ同一軌跡を通ることが分かった。しかし、全重心の軌跡は荷物高さが高くなるにつれ垂直軸(X線)に近づき、足首、腰の負担量(曲げモーメント)が小さくなった。全重心の軌跡は荷物高さが下方より70cm前後の位置で部分的にX座標が減少する(垂直軸に近づく)傾向を示し、足首の曲げモーメントも局部的に小さくなり、コンテナの運搬作業には70cm前後の荷物高さが適するものと考えられた。 (2)コンテナ積み荷作業における各関節(足首、膝、腰)の曲げモーメントは、荷物高さが低位置(持ち上げ初期)の状態では非常に大きく、上方になるに従い減少した。特に腰の曲げモーメントが他関節に比べて大きな値を示した。人力作業では腰痛が悩みの種となっているが、各作業姿勢ごとの各関節の負担量を算出することによって他の農作業においても無理な作業姿勢の改善を行うことができるものと思われた。 (3)コンテナ形状の違いによる足首と腰関節の曲げモーメントを同一荷重において比較した結果、積み荷作業に適しているコンテナの形状があることが判明した。 (4)生体負担を最小限にするための作業方法をシミュレーションにより推定した。シミュレートした作業姿勢の動的変化とコンテナの軌跡、各関節(足首、膝、腰、肩、肘)にかかる曲げモーメントの経時変化、各部位並びに全重心(人体+荷物)位置の軌跡と被験者による実作業値を比較した結果、被験者の経験に基づいた実作業方法よりもシミュレートした作業方法の方が生体負担をかなり小さくできる事が分かった。今後、これらの検証を行っていく予定である。
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