Research Abstract |
[目的]我々は食と生体防御に興味関心を持ち,特に,腸管における感染防御に重要な役割を持つサイトカインのネットワーク調節機序に注目している.腸管系に重要なサイトカインには,インターロイキン-1(IL-1),2,4,6,7,10,12,18,インターフェロンγ(IFNγ)などがある.本研究では,機能性食品を考える上で,ヒトへの応用も考慮に入れ,ブタ腸管をモデル系とした.本年度は,ブタ腸管において未同定のIL-7をクローニングし,さらに,免疫修飾因子の腸管免疫に対する賦活化作用を検討した. [方法]初生仔ブタ腸管からRACE法によりブタIL-7をクローニングした.ブタIL-7について各種動物間でホモロジー解析し,各種臓器における発現を検討した.リコンビナントIL-7について,脾臓細胞に対する増殖活性を検討した.また,免疫修飾因子(乳用乳酸菌およびそのDNA)の腸管上皮細胞の通過を解析し,さらに,腸管関連リンパ組織(GALT)に対する作用についてサイトカイン遺伝子発現を指標として解析した. [結果]ブタIL-7をクローニングし,531bpの構造遺伝子の配列を決定した.ブタIL-7は,塩基配列およびアミノ酸配列においてヒツジとそれぞれ91.9%および88.6%,ヒトとそれぞれ85および73%の高いホモロジーが認められた.さらにリコンビナントIL-7の生物活性が確認され,臓器における発現の特異性が認められた.また,腸管組織培養の結果,免疫修飾因子(乳酸菌,乳酸菌由来DNA)は腸管上皮細胞を通過し,マクロファージおよびリンパ球と接触すること,さらに,IFNγのmRNA発現を増強させることから,免疫修飾因子はGALTのサイトカインを介して腸管免疫賦活化作用をもたらすものと考えられる.
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