1999 Fiscal Year Annual Research Report
食肉製品の発色を促進する乳ペプチドの単離と作用機構
Project/Area Number |
11660275
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
坂田 亮一 麻布大学, 獣医学部, 教授 (10153892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英利 麻布大学, 獣医学部, 講師 (70257294)
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Keywords | 亜硝酸塩 / 塩漬 / 牛乳アレルギー / 食肉製品 / タンパク質酵素分解 / 乳タンパク質 / 発色 / ペプチド |
Research Abstract |
牛乳アレルギーの人でも摂取可能な乳食品素材の開発を目的として、酵素処理による乳タンパク質アレルゲン活性低下減化を行う実験において、得られた乳タンパク質酵素分解物を食肉製品に応用してみたところ、低濃度の亜硝酸塩共存下でも塩漬食肉製品の発色が増強される現象を観察した。本研究では、そこに含まれるペプチドに着目し、乳タンパク質分解産物を構成するペプチドが有する食肉製品への発色促進効果および亜硝酸塩の分解に及ぼす効果を確認し、有効成分を明らかにすることを目的としている。今年度の実験で乳タンパク質酵素分解物を調製するため、限外ろ過法で脱脂乳から分離濃縮したものを基質とし、食品用酵素剤2種を用い50℃、5時間の条件で反応させた。反応後90℃で20分間加熱し失活させ、凍結乾燥法で粉末化したものを用いた。ゲルろ過/HPLC法で分析した結果、酵素処理により乳タンパク質の大分部は分子量1,500以下のペプチドになっていた。発色促進効果を赤色の程度を示すa^*値で評価したところ、酵素分解物を10%添加し試作したソーセージは17ppmNaNo_2濃度でも発色は良好で、NaNO_2のみを85ppm加え調製した試料よりも明らかに高いa^*値を示した。発色色素の生成程度を示す75%アセトン抽出液の吸収スペクトルを測定した結果、乳タンパク質酵素分解物を添加したソーセージにおいて、発色色素の生成量増加が確認された。このソーセージの発色率は、乳タンパク質の酵素未分解物を添加した対照試料の約1.6倍を示した。また、酵素分解物を50%エタノールで抽出した画分を添加したソーセージで、さらに発色率が向上した。これらの結果から、乳タンパク質酵素分解物を食肉加工に発色促進剤として利用する可能性が示唆された。
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[Publications] R.Sakata, H.Morita, N.Itoh and S,Chou: "Stability of heme pigment and color formation in meat products : Effects of Vitamin E,carnosine and milk protein hydrolysates"Proc.45th Inter. Meat Sci. Technol.. 154-155 (1999)
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[Publications] H.Morita, H.Yoshikawa, R.Sakata, T.Mishiro, H.Fuchu, A.Sakata, Y.Nagata: "Effect of pH on the coordination of nitric oxide complex of iron (II) swine myoglobin"Proc. 45th Inter. Meat Sci. Technol.. 398-399 (1999)
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[Publications] 坂田亮一,森田英利,乗松毅,伊藤典之: "食肉製品の発色に及ぼす乳タンパク質酵素分解物の促進効果"日本養豚学会誌. (発表予定).