1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11660277
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐野 宏明 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196306)
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Keywords | 反芻家畜 / ヤギ / タンパク質合成 / デンプン / エネルギー / アミノ酸 / グルコース / 代謝回転速度 |
Research Abstract |
(目的) 反芻動物において採食量の増加は、グルコース代講回転速度、全身タンパク質合成速度を増加させることが知られているが、タンパク質摂取と非タンパク質栄養素摂取の効果を区別した研究は非常に限られている。本実験ではヤギにおいて、タンパク質摂取量が一定の条件下でエネルギー摂取量の増加を炭水化物のみでまかなった場合のグルコースおよびタンパク質代謝に対する影響を安定同位元素を用いた同位元素希釈法により検討した。 (方法) ザーネン種雄ヤギ4頭に維持の代謝エネルギー(ME)、維持の1.5倍量の粗タンパク質を含む基礎飼料(アルファルファ乾草、トウモロコシ、大豆粕)、基礎飼料にトウモロコシデンプンを添加した維持の1.5倍、2.0倍のMEを含む飼料を給与した。各飼料において19日目に、採食後2.5時間より4時間にわたり、[U-^<13>C]グルコース、[^2H_5]フェニルアラニン、[^2H_2]および[^2H_4]チロシンを用いた同位元素希釈法によりグルコース代謝回転速度、全身タンパク質合成速度を測定した。 (結果) ME接収量の増加に伴い、血漿尿素態窒素、遊離脂肪酸は低下し、血漿総アミノ態窒素は増加したが、血漿グルコース、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、インスリンは有意に変化しなかった。グルコース、フェニルアラニンおよびチロシンの代謝回転速度はME摂取量の増加に伴いいずれも増加したが、フェニルアラニンの水酸化速度は維持の1.5倍のME摂取で最も低く、維持の2.0倍のME摂取で最も高かった。全身タンパク質合成速度はME摂取量の増加に伴い増加した。以上の結果より、ヤギにおいて炭水化物によるME摂取量の増加は、血漿グルコースおよびインスリン濃度に大きな影響を与えることなく、血漿尿素態窒素濃度の低下と総アミノ態窒素濃度の増加を伴って、グルコース代謝回転速度および全身タンパク質合成速度を増加させることが示唆された。
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